【伊賀署庁舎=伊賀市四十九町】

刑事課長 早咲侑

 三重県下で特殊詐欺被害が著しく増加傾向にあります。2023年の県下における特殊詐欺の発生件数は、統計の出ている8月末時点で184件。被害額は約3億8000万円と昨年同時期と比較してそれぞれ110件増、2億円増と過去に例を見ないほどの著しい増加傾向にあります。

 参考ですが、21年の1年間の発生件数が110件、被害総額が約1億9000万円ですから、ちょうど丸々1年分が昨年と比べて今年は増加していることになります。この傾向は伊賀署管内でも同様であり、昨年は1年間で発生3件、被害総額約160万円であったのに対し、今年は8月時点で既に昨年を超える5件の発生があり、約3700万円の被害総額を認知しています。

 この中には、お一人で約3000万円の被害に遭われた方がいます。

 特殊詐欺は、親族ら身内をかたる「オレオレ詐欺」、市職員らをかたって医療費の還付金があるなどといってだます「還付金詐欺」、スマホアプリ料金の未払いがあるなどといってだます「架空料金請求詐欺」、市役所や税務署の職員をかたってキャッシュカードを取り替える必要があるなどといってキャッシュカードをだまし取って引き出される「預貯金詐欺」などの手口があります。特に架空料金請求、預貯金詐欺、還付金詐欺が著しく増加しており、これらの増加分が丸々前年比からの増加分となっています。

 増加原因は現在分析中ですが、だます文言や口実は従来の架空料金請求詐欺や還付金詐欺などとほとんど同様であるなか、電子マネーなどの普及で支払方法に変化が生じてきていることが要因の一つではあると思われます。

 この種の犯罪に対して警察としましては、犯人の検挙に全力を尽くすのはもちろんですが、皆さまにお願いしたいことはまず、この種の特殊詐欺について▼市役所や金融機関の職員が電話でお金を要求したり、口座番号を聞いたりすることは絶対にあり得ない▼キャッシュカードや現金を家に直接受け取りにくることもあり得ない、ということを強く頭に入れて頂き、自らが被害に遭わないことはもちろんですが、▽金融機関で電話を掛けながらATMを操作している人▽窓口で多額の現金を引き出そうとしている人▽コンビニで一度に多額の電子マネーを購入しようとしている人、などを見掛けた場合は「もしかしたら詐欺の被害に遭っているかもしれない」と感じて頂き、声を掛ける、周りの人に知らせる、110番通報するなどして被害を未然に防止できる環境づくりをお願いしたいです。

 少しでも不審な点を感じたら遠慮なく110番通報もしくは伊賀署(0595・21・0110)に電話して頂ければ、迅速に対応し未然防止に努めますのでご協力をよろしくお願いします。

2023年9月23日付852号22面から

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