【田んぼの前で商品を手にする山﨑さん(右)と水谷さん=伊賀市上之庄で】

 義父が育てた伊賀米を使った玄米コーヒーの売り出しを手始めに、地域の健康に貢献できるカフェ併設の居場所づくりへ向けた一歩を踏み出したのは三重県伊賀市上之庄の医師、山﨑直美さん(35)だ。

在宅診療医として勤務する山﨑さん(左)(提供写真)

 泌尿器科専門医、在宅診療医として紀南地域の診療所で勤務していた時、地域のつながりを生み出そうと医療・介護に携わる人を対象にした「ドクターズカフェ」を開設させた。1年半前、結婚を機に伊賀市に転居。今は南山城村のクリニックに所属しながら在宅診療などに携わっている。

 きっかけは、伊賀米農家の義父から米の活用法を相談されたことだった。学生のころ、4年間チェーン店でアルバイトしていたほどコーヒー好きで、せっかく医師が作るのなら、「体に良いものを」「新しい世代にアプローチもしたい」と、伊賀米を使った玄米コーヒーの販売を企画。玄米コーヒーは精米する前の米(玄米)を焙煎して作ったもので、香ばしい玄米の香りと伊賀米ならではの甘味、香り、コクなどがしっかり感じられるカフェインレスの飲料で、5月に商品化した。

 イベントや岡森書店白鳳店(伊賀市平野西町)などで委託販売を始めたところ、購入者からも喜ばれているという。

玄米コーヒー

カフェの開設も

 カフェの開設へむけては、以前の勤務先で知り合った、いなべ市在住の理学療法士、水谷祐哉さん(37)の存在が大きかった。

 水谷さんは地域の人が健やかに過ごす上で大事なのは人と人の「つながり」だと、シニア世代から子どもまで集える無料の相談所「いなべ暮らしの保健室」を地元に複数立ち上げるなど、職業上の知恵や技術を生かして地域の介護予防にも関わっている。加えて屋台カフェなどイベント活動も積極的にしており、同じような経験があることからすぐに意気投合したという。

 2人は「高齢化率は高いが、在宅診療の普及は低い伊賀市のため何か出来ないか」と、空き家を活用した居場所作りを考えた。医療従事者が開く、シェア型図書館やコーヒースタンドなどで、独り暮らしで閉じこもりがちな人や移住者などの交流のきっかけにしたいという。

 既に山﨑さんの地元で来年の開設に向けた準備を進めており、玄米コーヒーを始め、地域の産物も提供する予定だ。

 これからの活動の様子をインスタグラム「@Kurashi_ina2023」で投稿するという2人は「まずは第一歩がスタートできた」と話し、「さまざまな世代が集える場所にしたい。医療関係者ならではの、ちょっとした相談にも応えられる場にもなれば」と期待を込めた。

2023年9月9日付851号14面から

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