【宗吉さんの胸像と、写真を手にする村井さん=伊賀市上野小玉町で】

 三重県伊賀市上野小玉町にある1909(明治42)年創業の老舗茶屋「むらい萬香園」に、3代目店主・村井元治さん(70)の祖父で初代店主の宗吉さんの胸像がある。60年以上前に「伊賀変人十人衆」として作られたうちの1体らしい。

 村井さんによると、宗吉さんは戦前の若いころに弟子を集めて「忍者塾」を開き、「伊賀流忍者最後の継承者」と自ら称していた。町に出る時はいつも日の当たる道の真ん中を歩き、就寝時は床柱に背を付けて座ったまま寝ていたという。

 本人にそっくりだという宗吉さんの像は、高さ約45センチ、幅約30センチで、素材は粘土。丸い眼鏡をかけ、右肩付近に「一九五八年 六山作」と彫られている。

 像は村井さんが幼いころから自宅の玄関に飾られていたが、県の事業で2000年に同店が「伊賀まちかど博物館」に認定されたのを機に、宗吉さんの忍者道具などを展示する「おじいさんの古いもの博物館」の展示近くに移動したという。そのころ、認定によってテレビ局の取材が相次ぎ、店内の様子が広く放映された。

 テレビ放映の数日後、写り込んだ宗吉さんの胸像を見た高齢女性が店を訪れ、「うちの父もこの像を頂いた。伊賀変人十人衆の家が皆、この像をもらった」などと話した。更にその数日後、高齢男性が店を訪れ、「私の親父の作。伊賀の変わり者を10人選び、像をもらってもらった」などと話したという。

 村井さんは、2人の話で十人衆の存在を初めて知り、再び来店したらより詳しい話を聞こうと考えていた。しかし、それから再会する機会無く、20年以上が経過してしまったため、十人衆の詳細は謎のままとなってしまったという。村井さんは「他の9人は一体、どこの誰だったのか」と首をかしげる。

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