市内唯一配水池備えない浄水場 自家発電設備が未整備

 台風7号の襲来により三重県伊賀市南部の一部地域で停電による断水が発生し、計108戸に影響が出た。上津地区では96戸が約27時間にわたって水道が使えず、住民らが日常生活に支障を来した。停電は市内全域で最大4030戸にも及んだが、なぜ断水が起きたのか。関係者に話を聞くと、非常用の自家発電設備の未整備が要因だったことがわかった。

 上下水道部によると、市内にある浄水場は17か所。自家発電設備を有する施設は上野地区と阿山地区、大山田地区にある5か所で、燃料貯蔵量は24時間から36時間分。他は非常時の発電機が使えるよう整備した施設が上野地区に1か所あるだけで、残りの9か所は非常用の発電機が使えない、または電力を使っていない施設だった。

整備までレンタルで対策 24年度に予算化へ

 また、16か所の浄水場は高台に設置した配水池から高低差を利用して自然に水を流下させる方式の施設で、上津地区にある上津浄水場だけが配水池を備えておらず、電力会社からの受電が頼りのポンプ圧送方式だった。

 配水池の容量は需要水量と滞留時間、消火用水量に基づいて計算され、1日最大給水量の12時間分以上を確保している。しかし、自家発電設備が使えず、停電時間が長引いた場合は同市でも平均で約12時間分しか水道の供給ができないという。

 上津地区で今回発生した断水を受け、市では早急に発電設備をレンタルで調達し、整備に向け来年度の予算に盛り込む方針だ。

平時でも飲料水備蓄を

 水道施設課の上窪英男課長は「停電が原因で給水できなくなるおそれがある他の施設にも整備が必要と考える」と説明。平時でも家庭や事業所で1人1日3㍑の飲料水を3日分確保しておくよう備蓄への理解を求めた。

2023年9月9日付851号23面から

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