秋空の下に広がる、白とピンクのじゅうたん―。20年ほど前まで長らく休耕田だった三重県名張市下比奈知の畑を、センニチコウ(千日紅)が彩っている。
800平方メートルほどの広さの畑には5年ほど前から、北隣に住む髙田裕市さん(56)が所有者の了解を得て、南隣に住む友人の西口寛子さん(62)とともに、ヒマワリやコスモス、コキア、センニチコウ、メランポジウム、マリーゴールドなど季節を彩る花を植えて楽しんでいる。
センニチコウはヒユ科の一年草で、草丈は大きいもので50センチ程度。暑さや乾燥に強く、切り花やドライフラワーとして用いられることも多い。花のように見えるのは花を包んでいる苞で、畑には花粉を目掛けてさまざまな種類のチョウやハチが飛び交う。
種をまいたのは5月下旬で、西口さんは畑の3色以外に、自宅でオレンジや蛍光ピンクのものも育てており、髙田さんは「毎朝眺めるのが楽しみ」とほほ笑む。一番の苦労は雑草との戦いだそうで、8月の台風後は倒れたり曲がったりした株の手直しに追われたという。
2人は「次の季節に向けて何をどう植えるか、毎日が楽しみ。センニチコウの時季が終わったら、去年採ったネモフィラの種をまこうかな」と笑顔で汗を流していた。
2023年9月9日付851号1面から
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