【今年度3回目の会合が開かれた市立病院改革検討委員会=名張市百合が丘西1で】

 三重県の名張市立病院の2027年度まで5か年の経営強化プラン策定に向けた「市立病院改革検討委員会」(委員長=佐久間肇・三重大付属病院副院長)の今年度3回目の会合が7月20日、同病院で開かれた。病院事務局は、委員から「机上の空論」「現実離れしている」などの批判が相次いだ前回の素案を一部修正して再提出したが、現行の経営形態を維持した場合の計画には変わらず、委員からは「目標達成は困難」「やっぱり机上の空論だ」などの意見が続いた。

 経営強化プランは、国が公立病院を経営する全国の自治体に23年度末までの策定を求めているもの。国が示すガイドラインには、計画の対象期間中に経常黒字(経常収支比率100%以上)化する数値目標を定めるべきなどと記載されている。

 この日の修正案では、計画最終年度の27年度の経常収支比率の目標値は100・1%に下方修正。前回の素案では、計画期間中に医業収益を約2億円増やす計画だったが、委員からの指摘を受けて職員給与費や薬品費の支出増を反映したのに伴って、修正案は医業収益を約4億円を増やす計画となり、更にハードルが上がった。

 市内患者数の将来推計が入院、外来とも今後減少が見込まれるとするデータも追加され、委員からは「患者数が減る見込みの中で、どうやって収益を増やすのか」などの声が上がった。佐久間委員長は「救急医療を守りながら、破綻せずにやっていくには相当な工夫がいる」と述べた。

 経営形態の見直しの項目では、修正案で「見直しの検討は避けられない」との文言を追記。計画期間中の取り組みとして、23年度中に他病院への訪問調査や財政シミュレーションなどを行い、方針決定後は約1年半から2年で移行準備を行うことなどが明記された。

 予定では、この日の委員の意見を反映させた素案は8月の市議会全員協議会で中間案として報告され、9月にパブリックコメントを受け付ける。10月ごろの検討委での最終審議を経て、年内に策定する。病院事務局によると、プラン策定後に経営形態の見直しが決まった場合は、数値目標などを修正していくという。

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