【4月初旬にあった草刈り隊の会議の様子】

 全国的に農業従事者の高齢化による担い手不足が深刻な問題になっているなか、三重県名張市黒田地区では地域住民が一体となって自分たちの農地を守っており、注目されている。その推進役は同地区環境保全会の「草刈り隊」だ。田の地権者などから、農作業の中でも最も労力がかかるあぜの草刈りや水管理を年間で引き受けている。

担当する田のあぜの草刈りをする隊員の杉本さん

 隊員は現在、60歳から70歳代の9人。同地区の35万平方メートルの水田の25%に当たる8万3000平方メートルを分担しており、田植え前や稲刈り前を中心に年4回ほど草刈りし、水を管理している。

 同隊事務局の杉本一徳さん(62)は、「草刈り隊が発足したのは4年前、地権者より田の管理を請け負っている全面受託者から、あぜの草刈りだけは地元の方でお願いできないかという相談があったのがきっかけ。草刈り作業は肉体的にしんどくなったという地権者からの依頼が増えている」と話す。

 受託料はあぜの草刈りと水管理を年間契約した場合、あぜの広さに関係なく、1000平方メートルの水張面積の田で年7000円。その全額が隊員に支払われる。

 また、草刈り隊は地区内の国道沿いの草刈りも県から年2回受託しており、その際には応援部隊を募って15人ほどで集中作業。隊員には1時間当たり1000円が支払われる。

 同地区で現在、約3万平方メートルの田の主要作業(田植え・稲刈り)をJAいがふるさとの子会社「いがふるさとアグリ株式会社」(伊賀市川東)に委託し、あぜの草刈りと水管理は草刈り隊で行っている。

 同社では「高齢化の進む中、地域ぐるみで農地を守っている草刈り隊の存在は非常にありがたい。今後、地域と一体となった農業経営を展開する上で黒田地区は一つのモデルケースであり、他地域にも広げていきたい」と話している。

 杉本さんは「受託する面積は年々増え、その結果手つかずで荒れていた田んぼは主要部では1枚も無くなっている。会社を定年退職した方が隊員として地元に腰を落ち着け、地区内の農地管理や環境美化のために貢献することで、少しでも農業の副収入を得て頂くことが理想」と、今後の展望を語った。

2023年5月27日付844号22面から

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