【落慶法要に臨み新本堂に入る僧侶ら=名張市箕曲中村で】

 2019年5月の火災で本堂などが焼失した三重県名張市箕曲中村の福成就寺で5月27日、本堂の再建を祝う落慶法要と新住職辞令伝達の式典が営まれ、来賓の僧侶や檀家ら約80人が参列した。21年8月に86歳で亡くなった岩田昌信前住職の跡を継いだ長女の妙信住職(58)は「父も大変感謝していると思う」と喜びを語った。

 市史によると、同寺は平安時代中期からあった壬生寺の後身と推定。天正伊賀の乱で焼けた後に再建され、江戸時代には名張四大寺の一つに数えられたと伝わる。

 4年前の火災では、木造平屋瓦ぶきの本堂や庫裏など計約350平方メートルが全焼し、本尊の薬師如来も焼失。十一面観音や如意輪観音など仏像5体、国の重要文化財に指定されている「黒漆厨子」などは焼失を免れた。

 本堂の再建は、火災から間もなく檀家約130軒で組織した再建委員会が中心になって進めてきた。寄進を募りながら21年秋に着工にこぎつけ、今年3月に完成。広さは焼失前より一回り大きい約120平方メートルで、新たな本尊として奈良県宇陀市の大本山室生寺から金色に輝く薬師如来像を迎えた。これまでに再建のための資金として、計約1億3000万円の浄財が集まったという。

 式の中で、妙信住職は「短い歳月で立派に再建できたのも、皆さまの多大なる支援のおかげ。深く感謝したい」とあいさつ。再建委の北野宣男委員長(71)は「この日を迎えられ、ほっとしている。これからも100年、200年、未来永劫、子孫に引き継いで行けたら」と語った。

式典の中であいさつする妙信住職(左)ら=同
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