【開店へ向け細かい作業を続けてきた今坂さん(左)と森脇さん=名張市瀬古口で】

 自分たちの手で内装を手掛けるなど、思いが詰まった洋食店を三重県名張市瀬古口に開いた今坂友哉さん(30)=同市鵜山=と森脇章太さん(30)=同梅が丘南。今春の開店から「居心地がいい」と評判を呼んでいる。

 2人は市内でバーを共同経営する同級生で、以前から洋食を望む声を聞いていたことや、かつて父親が経営する洋食店で働き、県外で修業も積んだ森脇さんの「もう一度、洋食にチャレンジしたい」という思いがあったことがきっかけ。

 昨年11月、新店舗にふさわしい居抜き物件に出会い、開店へ向けたスタートを切った。2人とも洋画好きで、アメリカンポップな雰囲気に魅せられていたので「オールドアメリカンな店」にしようと意見が一致。1か月かけて構想を練り、今年1月からバー経営の傍ら、清掃から始めた。

 壁紙を塗り直し、ドア部分を開閉できるフェンスに変えるなど、細かい作業を2人で続けた。照明器具や机、ソファなども自分たちで出向いて中古品を調達。古い瓶や空き缶、海外のナンバープレートなど店内を飾るノスタルジックな小物類の見せ方にもこだわり、100年前のストーブや古着も展示した。精算時に使用する黒色のレジスターは70年前の品で、「チン」という音が、店の雰囲気を演出する。

 店名はハンバーグやステーキなどの肉料理がメニューの中心になることから英語の「COW(牛)」が入ったスラング「なんてこった!」を意味する「HOLY COW」に。ロゴマークや宣伝ちらしも自作した。

 「何のつてもなく、お金もないが、仕事しながら手作りした店がオープンできた。今後残っている店内スペースはお客さんと一緒に完成させていきたい」と2人。「これから若い人だけでなく幅広い人とつながって名張を盛り上げて行きたい」と目を輝かせている。

2023年5月13日付843号10面から

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