【幼虫をくわえて巣に戻ってきたヤマガラの親鳥】

 5月10日から16日は愛鳥週間。三重県名張市桔梗が丘南の元警察官、杉本健二さん(77)宅で、野鳥のヤマガラが巣箱に巣作りし、6羽のひながかえった。杉本さんはハイテク機器を駆使しつつ、安全確保のため妻の満知子さん(74)とともに献身的にパトロール。ひなは5月3日に無事、巣立っていった。

塩ビ製巣箱を見守る杉本さん夫妻
口を開けるひな6羽(提供)

 ヤマガラはシジュウカラ科の留鳥で、成鳥は全長14センチとスズメよりやや小さい。杉本さんとの交流は13年目で、餌やりを続けると、懐いて手乗りを始めた。雄を「ヤマ」、雌を「ガラ」と呼んで毎年可愛がってきた。

 5年前に巣箱を庭に設置してからは、巣作りが恒例に。巣箱は木製の他、動画サイトで知って手作りした塩ビパイプ製の計6個。今年は家の雨どいに設置した塩ビ製の方で3月に巣作りが始まった。

 ペアがこけや動物の毛などを運び込み、1か月後にひなが姿を現した。時折、親鳥が直径2・8センチの穴から入って餌を与える姿が見られ、ふたを開けるとひなが口を開けて餌を求める仕草を見せた。

 杉本さんは、巣箱の2メートルほど前にだるまのような形の小型防犯カメラを設置。インターネットに無線接続し、映像は杉本さんのスマートフォンなどから24時間いつでも確認できるようにした。

巣箱の近くに設置された小型防犯カメラ

 動体検知機能を活用し、巣箱の周囲に何か変化があると自動的に通知が届くように設定し、イタチなどひなを狙う生き物が現れた時には、杉本さんが自ら「こらー」と声を上げて駆け付けた。

厳重警戒

 1年前は、杉本さん宅の巣箱で生まれたヤマガラのひな5羽が、巣立ちを前にスズメに襲われて全滅する悲劇に見舞われた。杉本さんは「なんでこんなひどいことをするのか」と落胆。防犯カメラには“証拠映像”が残されていたが、その時は運悪く襲撃に気付けなかったという。

 今年はヘビよけの薬剤を巣箱の下に設置するなど対策を強化し、「ひなに悪いことをする生き物は許さない。旅行も禁止して守り抜く」と警戒を強めていた杉本さん。巣立ちを見届け、「やっとこさ、ひと段落。みんな無事に飛んでよかった。来年もまた来てくれると思う」と話した。

2023年5月13日付843号1面から

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