「伊賀の地で、四日市萬古の魅力を伝えたい」。繊細な細工を施した紫泥急須などで知られる萬古焼作家、清水醉月(本名・洋)さん(79)が三重県四日市市南いかるが町で営む「醉月陶苑」の作品展が、伊賀市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で4月25日から5月4日まで開かれる。入場無料。
江戸中期に桑名の豪商・沼波弄山が開窯したと伝わる萬古焼は、食器や花器から工業製品まで幅広く、時代による盛衰を経ながら、主に北勢地域の地場産業として多くの陶工や優れた技術を生み出してきた。
明治後期から続く窯元の家に生まれた清水さんは、1993年に三代目醉月を襲名し、陶歴は六十余年。清水さんと妻きし代さん(76)、長男潤さん(50)、次男潮さん(47)の家族4人がそれぞれ作家として活動し、年間を通じて全国各地の百貨店やギャラリーなどへ出品している。
新型コロナの感染拡大以前は、同じ県内の伊賀焼作家とは特に若い世代で交流が盛んだったといい、「伊賀は大事な文化がたくさん残っている土地。伊賀の皆さんに萬古の良さを知ってもらえたら」という思いで作品展を初めて企画した。
会場には、急須を始めとした茶器、花器など計100点前後を展示予定で、清水さんらは「萬古が培ってきた歴史や、一つひとつの器の質感、軽さや重さ、風合いなど、手に取って五感で味わってほしい」と呼び掛けた。
時間は午前11時から午後6時(最終日は同4時)まで。期間中は、清水さん作の紫泥急須で入れたお茶で来場者をもてなす予定。
問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)まで。
2023年4月22日付842号4面から
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