【従来の健康保険証とマイナンバーカードのイラスト(イラストAC提供)】

 従来の健康保険証が2024年秋に廃止されマイナンバーカードとひも付けた「マイナ保険証」に全面的に切り替わるのを前に、4月から原則、全ての医療機関に対し、読み取りシステムの導入が義務化された。ところが、一部の医療機関ではシステム導入に遅れが出ている。三重県伊賀地域の状況を調べた。

 厚生労働省のまとめによると、システムの運用を始めた医療機関は4月2日現在、伊賀市内が91か所(病院3、医科診療所33、歯科診療所22、薬局33)、名張市内が86か所(病院2、医科診療所34、歯科診療所20、薬局30)。1日現在の保険医療機関全体の数で割ると伊賀地域の導入率は約7割となる。

「昨年9月に注文したが」

 運用を開始していない伊賀市内のある歯科医院の院長は「業者の遅れで、いつ始められるかまだ決まっていない」(13日現在)と不満を漏らす。「昨年9月に注文したが、その後一切連絡がなく、3月末くらいにようやく機器が届いた。インターネット接続はまた別の業者で、これから調整に入る」と話した。

 同省は、導入の遅れを受けてシステムの整備完了の期限を今年9月末まで延長しており、同院も猶予を届け出たという。院長は「3月中には開始できると思っていた。患者からは『マイナ保険証を使いたい』という声はまだ届いていないが」と話した。

 国は患者にマイナ保険証の利用を促すため、4月から12月末までの特例措置で、従来の保険証を利用して受診した時の窓口負担を割高に設定している。マイナ保険証を使わなかった場合、窓口負担が3割だと初診では12円、再診では6円の差が出る。

 マイナ保険証の対応医療機関は同省の特設ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/index_16743.html)で確認できる。

2023年4月22日付843号1面から

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