【湖岸に設置された「あおやま川上湖」の碑を除幕した岡本市長(左から3人目)ら=伊賀市川上で】

 洪水調節や水道用水の供給などを目的に、三重県伊賀市南部の青山地区で建設が進められてきた「川上ダム」の建設事業完了式が3月26日、同市川上のダムサイト左岸で開かれ、地元関係者や工事関係者ら約200人が出席した。

 独立行政法人水資源機構によると、木津川水系の前深瀬川と川上川の合流点付近に堤体が建設された川上ダムは、堤長334メートル、堤高84メートルの重力式コンクリートダムで、総貯水量は3100万立方メートル。1967年の予備調査着手から半世紀余り、水没地域にあった川上集落は、北に約3キロ離れた近鉄青山町駅近くに移転している。ダムは試験湛水中で、同日時点の貯水率は約70%。今後は試験湛水を続けながら管理業務に入っていくという。

式典の様子=同

 この日午前11時からの事業完了式で、一見勝之知事は「伊賀市の方々、とりわけ地域の安全と発展のために建設を受け入れて頂いた川上区を始めとする旧青山町の皆さんに心より感謝申し上げる。伊賀地域は地理的特性から水害に苦しんできた歴史があり、治水安全度の向上は何より重要。20、30年前とは規模の違う災害に耐えられるよう、日々心を砕いていかなければならない」と述べ、「木津川からの取水を安定的な水源にできることも大きなポイントで、観光の目玉にもなりうる。伊賀地域の発展に防災、利水、更に観光の面でも寄与することを祈念している」と話した。

上空から見た川上ダム周辺(水資源機構川上ダム建設所提供、3月14日撮影)

 伊賀市の岡本栄市長は「国からダム建設・遊水池整備・河川改修の3点セットが重要と言われてきたが、ようやく今日、この3点が整い、より安心・安全な地域にできることを喜んでいる。利水の面でも、憂いなく地域の活性化や企業の立地などに利点ができたと思う。上流・中流・下流の交流や連携が大切になってくる」と祝辞を述べた。

 祝辞の後、地元関係者への感謝状贈呈、同ダム建設所の津久井正明所長からの事業経過報告があり、最後に、公募で決まったダム湖の名称「あおやま川上湖」の石碑が除幕された。

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