【保護直後の「キング」(保護団体提供)】

状態悪く左後脚切断

 法律で原則使用が禁止されている鉄製わな「トラバサミ」で、脚を挟まれた猫が三重県伊賀市内で見つかった。猫は大けがを負いながらも挟まれたまま移動できたため、わなにかかった場所や経緯は分かっていない。

挟まれていたトラバサミ(伊賀保健所提供)

 3月7日朝、同市中柘植の駐車場で40代の会社員女性が「ニャー」という鳴き声を耳にした。猫は最初、金具のようなものが付いた状態で車の下に入っていたが、女性が出そうとしたところ逃げ出し、崖下に落ちてしまった。消防隊員が駆け付けて救出したところ、左後脚を長さ約35センチのトラバサミに挟まれていた。

三重県、伊賀市の許可例なし

 トラバサミは、バネ仕掛けで踏んだ動物の脚を挟む猟具。無差別に動物を傷つけるとして2007年以降、鳥獣保護法で原則的に使用が禁止されている。違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。自治体の許可があれば使用できるが、県も同市も許可した例はない。

 保護したのは茶トラ柄の雄の成猫で、首輪はなく、未去勢だった。伊賀保健所で金具を外したり、動物病院で診察を受けたりした後、保護団体の「伊賀の猫好きおばさんSAI」が「キング」と名付けて預かり、治療を続けている。性格は穏やかで、人慣れしているという。

 猫は保護時、強い力で挟まれ続けたため、左の脚先約5センチがうっ血して黒ずみ、壊死状態になっていた。治療で命の危険性は減ったが、脚の状態が悪く、17日に鈴鹿市で切断手術が行われた。

警察「違反か確認中」

 同保健所によると、管内では少なくとも過去10年間、同様の被害は確認されていない。伊賀署は「鳥獣保護法や動物愛護法の違反に該当するか確認中」としている。

 保護団体のメンバーの女性は「こんなこと、今まで経験がない。トラバサミは使ってはいけないもので、猫だけではなく、犬や小さな子どもにとっても危険。人も動物も、安心して暮らせるようにしなければ」と話した。

保護されたキング。切断手術の数日前(保護団体提供)
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