三重県名張市教育委員会は3月7日、市文化財調査会から答申のあった同市短野の共同墓地に残る「石造五輪塔」を市有形文化財(工芸品)に指定したと発表した。指定は2日付。
市教委文化生涯学習室によると、石造五輪塔は供養を目的に作られる塔の一種で、今回指定されたものは高さ1・58メートルの花こう岩製。無銘だが完存しており、西大寺系五輪塔の型式であることから、鎌倉時代末期に作られたとみられるという。
同様の型式のものは、大和・河内・山城地域では念仏講によって墓地の中心に埋葬者全体の供養塔として建てられることが多いとされる。市教委は「律宗の伊賀地域での広がりを示し、当時の信仰の姿を残す貴重なもの」としている。
市指定文化財は、今回で59件目。市内の石造五輪塔は、丈六寺(赤目町丈六)と蓮福寺(南古山)、永福寺(下比奈知)に続き4件目の指定となった。
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