110番の通報者がスマートフォンなどで撮影した動画や写真を警察に送信できる「110番映像通報システム」を活用した通報の実演が、三重県警名張署(名張市蔵持町芝出)であった。〈YouTubeで動画(https://youtu.be/7vff6K1Gcjk)〉
このシステムは昨年10月から全国で試行運用されており、4月1日から本格運用が予定されている。事件や事故などの目撃者が、警察官の到着前に現場の状況などを映像で伝えることができ、警察のスムーズな初動対応につながると期待されている。
110番通報を受けた県警本部指令室の警察官が「映像が必要」と判断した場合、「ご協力頂けますか」などとシステムの利用を通報者に依頼。同意が得られれば、通報者の端末にショートメッセージサービス(SMS)で専用サイトのURLを送信する。
通報者は送られてきたURLにアクセスし、指令室の警察官が口頭で伝えた4桁のコードを入力。システムが利用できるようになり、現場のリアルタイムの映像を指令室と共有したり、保存済みの写真や動画を送ったりできる。
同署での実演は、委員に委嘱された地域住民らと警察署幹部が意見交換する警察署協議会の中で行われ、7人の委員が参加した。協議会会長の神山幸久さん(50)が委員を代表して映像通報を体験し、交通事故を目撃した想定で状況を伝え、周囲を撮影した。体験した神山さんは「画期的だと思った。やっぱり目で見ることが大事」と活用に期待した。
行方不明者の
早期発見にも
県警本部指令室によると、システムを活用した通報は昨年10月から同12月末までに、名張署管内で3件、伊賀署管内で4件あった。名張署の3件と伊賀署の4件中3件は、高齢者や子どもの行方が分からなくなった通報で、家族から送信された行方不明者の顔写真をパトロール中の警察官などとすぐに共有し、早期発見に役立った。伊賀署管内では交通事故の当て逃げ事案での活用も1件あり、逃走車が写る映像をすぐに共有できたという。