【肩を組み、輪になって押し合う参加者たち=伊賀市馬場で】

 五穀豊穣や家内安全を願う祈年祭の神事「裸々押し」が2月18日夜、三重県伊賀市馬場の陽夫多神社(神田忠彦宮司)であった。寒空の下、ふんどし(下帯)姿の氏子青年会のメンバーら11人が、拝殿で威勢良く声を掛けながら押し合った。

 この神事は、天正年間の16世紀末に始まったとされ、2地区に分かれた氏子同士が押し合い、その年の収穫の具合などを占ったと伝わる。近年は氏子以外にも、地元小学生やスポーツ少年団など数十人が参加していたが、感染予防のため昨年に続き少人数で実施した。

 神事が始まった同日午後8時の境内の気温は8度。社務所でふんどしに着替えた参加者たちは、声を上げながら石段を駆け上がり、本殿でお払いを受けた。その後、拝殿に下りて肩を組んで輪になり、片足で跳ねながら「わっしょい、わっしょい」と声を掛けて何度も回った。

 ひとしきり押し終わると、参加者らは「五穀豊穣で打ってくれ」「家内安全で打ってくれ」などと歌って祈願し、本殿に向かい礼をして締めくくった。

 家族と見物に訪れ、飛び入りで初参加した上野西小2年の紀平之澄さん(8)は「寒かったけど、盛り上げようと声を出して頑張った」と笑顔を見せた。

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