【小杉あゆみの会のメンバー(提供写真)】

 三重県伊賀市北東部に位置する小杉地区で、地域の成り立ちや文化、風習などを後世に語り継ごうと活動するグループ「小杉あゆみの会」が、冊子「小杉のあゆみ」の第3弾を昨年刊行した。副題「生活・文化編」の通り、地元の社寺の歴史や方言、年中行事などについてまとめ、「郷土の過去・現在・未来をつなぐ資料として役立ててほしい」と期待している。

 地元に残された古文献や郷土資料などを調査研究する「文書の会」を母体に、有志の60、70代男性6人が集まって2013年に結成。現在まで顔ぶれは変わらず、地元の戦没者や戦時の様子などをまとめた第1弾「戦争編」を2015年に、米に代表される農産物の種類や価格、生産量などを記した第2弾の「農業編」を18年に発刊してきた。

 第3弾は当初、「宗教編」として寺社仏閣や信仰の歴史などで構成する予定だったが、信仰と同じく生活に密着した小中学校の沿革や祭りのいわれ、消防団の歴史などを網羅し、「生活・文化編」に変更。寺院の本尊の由緒や道祖神の分布など、メンバーも「小杉に長く暮らしていたけれど、知らないことがたくさんあった」と感じたそうだ。

 A4版164ページの冊子は非売品で、120部印刷・製本され、1月下旬に地区全戸へ配布された。

 会長の増岡規成さん(87)は「時代とともに薄れてしまいがちな地域のあれこれを次の世代へ伝えていけたら、この冊子をまとめた意味がある」と感慨深く語る一方、「内容的には決してまだ十分でない。我々の後に続く人たちが更に深め、将来的に新たな発見や地域の力を高めるヒントを見つけてくれたら」と期待を込めた。

これまでに刊行した冊子の表紙。右が第3弾の「生活・文化編」

2023年2月11日付837号8面から

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