【干支の卯をあしらったコースターを手にする稲葉さん=伊賀市愛田で】

 「伊賀牛の革はキメが細かく加工しやすい。製品になっても柔らかく、使い心地が良い」。三重県伊賀市愛田でレザークラフトの工房を営む稲葉博文さん(42)が、念願の伊賀牛ブランドで革製品作りを始めた。2023年の干支の卯(うさぎ)をあしらった小物などもあり、さまざまな可能性を模索している。

 2015年に古民家を改装して工房を開いた稲葉さんはこれまで、材料となる牛革を量販店などで仕入れていた。キャリアを重ねるうち、制作活動を更にアピールしたいという思いから、「地元を代表する伊賀牛で作ってみたい」との思いが強まった。

 伊賀産肉牛生産振興協議会によると、「伊賀牛」の定義は、伊賀地域で肥育された雌の黒毛和種の未経産牛で、同協議会の会員約30戸が年間1300頭ほどを出荷している。牛革の製造工程は食肉処理からなめしまで多岐にわたり、伊賀牛は加工場所も段階によって大阪、京都、兵庫と分かれるため、特定し入手するのは困難を極めた。

 コロナ禍でマルシェなどのイベント開催が減り、入手ルート開拓に時間を費やせた結果、全国肉牛事業協同組合の理事を務める中林牧場(同市山畑)の中林正悦さんらの協力もあり、入手が可能に。JAいがふるさとからは寝牛をデザインした伊賀牛ブランドマークの使用許可も得た。

 現在はトートバッグや財布、名刺入れ、小物入れなどを製作中で、「今後は定番のリュックサックやポーチなどに挑戦し、伊賀牛革の素晴らしさを伝えていけたら」と抱負を話した。

 問い合わせは稲葉さん(090・7758・3647=イナバワークス)へ。

伊賀牛革を使ったバッグ

2023年1月14日付835号7面から

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