革製かばんなどの製造・販売を手掛ける株式会社丸富商会名張支店(三重県名張市夏見)の玄関ロビー横に、12月から設置された見慣れない1台のマシン。足元が不安定な円形の台の上に立ち、タブレットやワイドスクリーンに映るスリリングな映像を見ながら、ゲーム感覚で体幹を鍛えるトレーニングマシンだ。昨年、ドイツで開発され、三重県内で2台目、伊賀地域では初導入という。
マシン横には、常設の「工房(ワークショップ)」がある。家族連れやグループなどの予約に応じて、1時間ほどで小銭入れやキーホルダーなどを作る初心者コースから、1日以上かけてバッグやポーチを作る本格的なコースまで、丁寧な職人の指導でオンリーワンの品ができると好評だ。
同社の奥中利直社長は「昨年6月のオープン以来、多くのお客さまに来店頂いているが、子どもさんからお年寄りまで、もっと幅広く気軽に立ち寄ってもらえる店を目指している」と話し、「大阪で開かれたプロモーションイベントで、老若男女がゲーム感覚で夢中になっている姿を見て、国内での総代理店の友人に頼んで設置した」とマシン導入のきっかけを話す。
工房で親がかばん作りをしている間に、子どもたちは迫力ある画面を見ながらスキー、スノーボード、サーフィンなどの競技でスピードや走行距離を競う。記録は登録されて全世界での順位が出る。エクササイズメニューは毎月更新され、常に新しい挑戦ができるので飽きない。使用料も不要だ。
奥中社長は「高校生が初めてのアルバイトで得たお金で祖父への贈り物としてネーム入りのメガネケースを作ったり、いい夫婦の日に手作りかばんをお互いプレゼントするなど、工房では感動的な話がいっぱいある。今後は、福祉施設の方などを招待して手作り体験を企画するなど、もっと地域に密着していきたい。トレーニングマシンの設置により、家族連れなどが気軽に立ち寄り楽しめるオープンな雰囲気になれば」と話している。
2022年12月24日付833号8面から