刑事課長 早咲侑
特殊詐欺には、親族ら身内をかたる、いわゆる「オレオレ詐欺」や、市役所職員らをかたって医療費の還付金があると言ってだます「還付金詐欺」、料金の未払いがあると言ってだます「架空請求詐欺」などさまざまな手口があり、このどれもが、だまされた被害者に現金を振り込ませたり、キャッシュカードを取りに来て、渡したカードからお金が引き出されたりする形でだまし取られるものです。
これらに加え、伊賀市でも先日発生した新たな手口について説明します。
最初のだます手口としては、市役所職員らをかたって「医療費の還付金がある」などと被害者をだまします。これまでと違うところは、だまされた被害者に対し、口座番号や口座名義人、暗証番号、その他被害者の氏名や生年月日を始めとする個人情報を言葉巧みに聞き出し、その情報を基に、犯人自身が被害者の口座をネットバンキングに登録することにより、自由に被害者の口座を操作して犯人が別の口座に送金した上、だまし取るという手口です。
この手口の恐ろしいところは、被害者自身が被害に気付くのが遅れ、犯人が自由に操作できることから、口座に入っているお金を全て奪われてしまう可能性が極めて高いことです。実際、伊賀市内で発生した事例では、口座に入っているお金のほとんど全てが送金され、約320万円もの現金がだまし取られています。
被害に遭わないために、相手との話の中で▼「医療費、還付金、ATM」などのキーワードがあれば信用しない▼市役所や金融機関の職員らが口座の暗証番号を聞くことはない、ということを強く頭にとどめ、このようなことがあれば1人で考えず、すぐ警察へ相談してください。
2022年9月24日付828号22面から
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