【賞状などを手にする放送部の部員たち】

 中高一貫校の私立桜丘中学・高校(三重県伊賀市下神戸)の放送部と新聞サークルが今夏、全国規模のコンテストで好成績を収めた。

幅広く取材展開 NHK杯で入賞 放送部

 放送部はNHK杯の高校テレビドキュメント部門で優良賞、研究発表部門で研究奨励を獲得。中学ラジオ番組部門でも優良賞を受賞した。高校は4年前に優勝を経験している。

 高校テレビドキュメント部門の作品名は「純潔教育‐教えない大人たちへ‐」。日本の学校での性教育を海外と比べて「遅れている」と問題視し、当事者の高校生から専門家、政治家、性教育に取り組む団体など幅広く取材を展開した。扱う範囲を限定する日本の性教育に対して「ネットなどで誤った認識をしてしまう前に、小学校から正しく教えるべき」と指摘した。

 制作メンバーの一人、前部長で高校3年の松田峻弥君(17)は「難しいテーマを高校生目線で追い掛け、見る人の興味が続くよう編集手法も工夫した。評価してもらえて、うれしかった」と振り返った。

 中学ラジオ番組部門の作品名は「ロンドンからの転入生」。帰国子女で中学3年の男子生徒を取り上げ、日本語がうまく話せない状況や思いを取材した。放送部のアナウンス練習に加わってもらい、上達に向けて一緒に取り組む様子をまとめた。男子生徒の強みを生かそうと、英語で校内放送に挑戦してもらい、その様子も紹介した。

 制作メンバーの一人で3年の志田悠晟君(15)は「決勝に残れるとは思っていなかったので、うれしかった。改善点が見つかったので、今後の活動に生かしたい」と話した。

 部長で高校2年の吉永悠人君(17)は「もう次の大会に向け、取材を進めている。先輩たちに続いて全国大会で良い成績を残せるよう頑張りたい」と意気込む。設立以来、19年間顧問を務める村上嘉男教頭は「さまざまな人と出会えて、成長できるやりがいのある部活。卒業生の中には、映像の世界に進んで輝いている人もいる。生徒たちには、更なる活躍を期待したい」と話した。

県内で唯一入賞 隠れた部分取材 新聞サークル

新聞を広げ、賞状を手に入賞を喜ぶ新聞サークルのメンバーら

 新聞サークルは、「第26回全国高校新聞年間紙面審査賞」で優良賞を受賞。県内唯一の入賞で、優良賞は2年連続だ。

 同校では、3つの寮の広報委員会の活動として新聞制作が行われており、月1回程度のペースでそれぞれA3判両面カラーの紙面を発行。寮内の行事やごみ問題、大会での生徒の活躍、新型コロナウイルス感染対策の呼び掛けなど多彩な内容を掲載し、離れて暮らす保護者にも学校生活の様子を分かりやすく伝えている。大会には、2020年11月から1年分の各寮の新聞を合わせて出品した。

 地元の観光地の旅館へ取材に出向いたり、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について掲載したりと、最近は学校内の話題にとどまらない取材を展開し、活動の幅を広げている。

 元編集長で3年の金澤宏高君(18)は「学校の隠れた部分を取材し、伝えることを心掛けてきた。努力が認められ、うれしかった。後輩たちには最優秀賞を目指して頑張ってほしい」と話した。

2022年9月24日付828号2面から

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