【巡行順を示す木枠に札をかける上野東町の松村さん=伊賀市上野東町で】

 新型コロナの影響で、鬼行列やだんじり巡行が2年連続で中止となっていた「上野天神祭」のだんじり巡行順を決める「祭礼事始籤取(くじとり)式」が9月9日、三重県伊賀市上野東町の菅原神社で開かれ、上野東町の「桐本」が先頭に決まった。今年の行事は10月21から23の3日間で、3年ぶりの通常巡行を目指して準備が進められている。

 籤取式は午後1時50分ごろ同神社拝殿で始まり、祭礼を運営する上野文化美術保存会の関係者、だんじりや鬼行列を巡行する13町の祭礼関係者ら約40人が出席。神事の後、だんじり9町の担当者が予備抽選順に、「壱番」から「九番」までの順が記されたくじを引いていった。直井清宮司は「3年ぶりに改めて出発する、という思い。一人ひとりがご自愛頂き、つつがなく祭りが行えるよう願っている」とあいさつした。

籤取式の様子=同

 「一番くじ」を引き当てた上野東町の祭礼担当者、松村克己さん(65)は「3年越しの思いを果たせてほっとした。今日から祭りに向けて邁進(まいしん)していきたい」と心境を語った。同保存会の中村晶宣会長(73)は「今日は祭りに向けて動き出す日。準備は遅れているが、やる以上は必要な感染防止対策をとりながら、通常の巡行ができるよう努めたい」と話した。

 今年の同祭は、21日に各町のだんじりが楼車庫から曳き出される「宵々山」、22日は鬼行列などが練る「足揃(あしぞろえ)の儀」、23日はみこしやだんじり、鬼行列が市街地一帯を練る「神幸祭」(本祭)などが行われる。

 今年のだんじり巡行順は以下の通り(町名、だんじりの名称、しるしの名称の順)。

①上野東町(桐本、逆熨斗)②上野魚町(紫鱗、琴高仙人)③上野向島町(鉄英剣鉾、日月扇)④上野福居町(三明、幟山)⑤上野西町(花冠、鞨鼓)⑥上野鍛冶町(二東、月鉾)⑦上野新町(薙刀鉾、白楽天)⑧上野小玉町(小蓑山、三社の託宣)⑨上野中町(其神山葵鉾、菊茲童)

上野東町のだんじり「桐本」(2019年撮影)

 同祭は国の重要無形民俗文化財で、2016年には「上野天神祭のダンジリ行事」がユネスコ無形文化遺産にも登録された。翌17年から週末開催となって以降は、悪天候や新型コロナの影響などで、3日間の行事全てが行われたのは18年だけだった。

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