【己書の作品を披露する木原さん】

 「落ち込んでいた時に出会った『己書』にパワーをもらい、笑顔になれた」と語るのは、三重県名張市梅が丘北の木原朱美さん(71)。「木原佐和子」のアーティスト名で生み出すほのぼのとした作品は、主宰する教室生の作品とともに、地元の信用金庫のロビーに並ぶ予定だ。

 筆ペンで心のままに文字を描く「己書」を知ったのは、2度目の甲状腺がんを患い、自宅療養していた2017年末。10年以上前に克服したはずが再発し、ふさぎこみ家にこもりがちな時期だった。「何てすてきだろう」と感動を覚え、奈良まで習いに通った。

 描くのが楽しいだけでなく教室の雰囲気も良く、月1回だったのが毎週のように通うようになった。描いている時は病気のことも忘れて仲間と触れ合い、楽しい時間を共有することで「明日を考えないで、今が楽しければいいか」と前を向けるようになり、自身の考えが変わったという。

 1年後には師範の資格も取得し、現在は市内や奈良などで教室を開くまでに。「筆1本で、人生を豊かにしてくれた」と木原さん。免疫力も上がったためか、がんは先ごろ寛解した。

教室生との作品展

 木原さんと教室生の作品は8月1から31日まで、名張市希央台5の北伊勢上野信用金庫名張支店ロビーで展示される。総勢26人の個性を引き出した自由な作品が並ぶ。時間は平日の午前9時から午後3時まで。観覧無料。木原さんは「楽しさが伝われば」と来場を呼び掛けている。

2022年7月30日付824号4面から

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