【新しく築いた窯の前で作品を手にする鈴木さん=伊賀市東高倉で】

 山を隔てた焼物の里から拠点を移し6年余り。茶器や食器を中心に、粉引や焼き締めなど多様な器を作り出している三重県伊賀市東高倉の鈴木大弓さん(40)の個展が、7月12日から20日まで市内のギャラリーで開かれる。入場無料。

 仙台市出身で、中央大2年の時に学内の陶芸サークルで焼物に出会った。自由な雰囲気ながらも「市販の釉薬は使わない」という決めごとがあったり、土も各自が業者を探して買い求めたり。卒業後は、両親の反対もありながら焼物の道へ進むために韓国へ渡り、磁器などを作る窯元で1年半ほど修業した。

 帰国後、焼き締めのつぼが好きだったことから、信楽焼の里・甲賀市信楽町へと移り、製陶所に2年間勤めて独立。グループ展や初個展も経験した。新たな環境を求めて移り住んだ現在の家は、伊賀焼作家・岡森章さん(故人)の登り窯や仕事場があった場所だ。登り窯は移住当時まだ現役だったが、老朽化のため解体し、今春新たな薪窯が完成した。

憧れの地で

 普段は2か月に1回ほど都市圏の百貨店やギャラリーなどへ出展しているが、伊賀での個展は初めて。「鈴木大弓という陶芸家の、自己紹介的な場にしたい」と言う通り、100点前後を出品する予定。「焼物に携わる人にとって憧れの地に暮らし、こうして焼物ができることに感謝している」と語った。

 鈴木さんの個展は同市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で、午前11時から午後6時(最終日は同4時)まで。

 問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)まで。

2022年6月25日付822号21面から

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