【バラの一部を紹介する野中さん夫妻=名張市で】

 三重県名張市桔梗が丘2の野中敬子さん(81)が自宅で育てるバラが今年も庭を彩り、白やピンクなどの約20種が甘い芳香を漂わせている。夫の康弘さん(83)と、仲睦まじく花を楽しんでいる。

 大阪府出身の野中さんは、20代で結婚を機に夫と名張市に移住。布製アートフラワーを作る仕事の傍ら、37年間にわたって三重県や名張地区の交通安全協会の委員や役員を務め、今年の春の叙勲では交通安全功労の旭日双光章を受章したが、バラの愛好家でもある。

 栽培は20年ほど前から始めた。それ以前は松やモミジを植えた和風の庭だったが、元々バラが好きでアートフラワーで題材にすることが多かったこともあり、少しずつバラを中心とする庭に作り直すことにした。試行錯誤を重ねながら数を増やし、今では庭中に満ちている。

 野中さんは、冬を除いて毎日のように手入れを続ける。枝の手入れの仕方や消毒で花の出来栄えが大きく変わるといい、特に虫や病気への対策は「気が抜けない」と話す。

 お気に入りは、ドイツの文豪・ゲーテゆかりの「ゲーテローズ」。大輪の花でピンクの色が濃く、「この色はアートではとても表現できない」と語る。

 野中さんは「バラは気品があって香りが良く、本当に美しい。育てるのが難しい種類もあるが、好きなことに取り組んでいるだけで気持ちが豊かになれる」、康弘さんは「バラも交通安全活動も、家内が好きなことを存分にやっている様子がうれしい」とそれぞれ笑顔で話した。

2022年5月28日付820号4面から

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