【絵付けした作品が並ぶ工房に立つ江口さん】

 漢詩や水墨画、西洋絵画など色鮮やかに絵付けされた陶器作品約200点が並ぶ工房の棚。三重県名張市つつじが丘北8番町の江口与志雄さん(76)は61歳の時、市内の陶芸教室で2年ほど学び、家庭用の電気窯を購入してからは試行錯誤しながら創作に没頭している。

 岐阜県生まれで、21歳の時に大阪の製造会社で勤務し、33歳の時に名張へ転居。名張から通勤しながら40歳で独立、工業用刃物の製造会社を立ち上げた。

 元々日曜大工が趣味で、3区画ある広い敷地内に52歳の時、母屋横に2階建てログハウスを独力で建築。「その時に余った材木で、陶芸用の工房も2棟造った」という。

 工房では、甲賀市信楽町で買い求めた土を練り、ろくろや手びねりで成形して自然乾燥。それを800度で素焼きした後、ゆう薬をかけて1250度で本焼き。更に「上絵付」をして色を重ねるごとに800度で焼き上げて完成させる。

 「赤の絵具を塗って焼き、青の絵具を塗って再び焼く。色が混ざらないように何度も焼く必要がある。陶芸の中でも絵付けが一番面白い」。

 江口さんのもう一つの趣味は70歳から始めた盆栽。敷地内には、松やヒノキ、梅などが600鉢も並ぶ。「インターネットで、色彩豊かな中国の古い植木鉢を見つけ、これは面白いと思ったのが絵付けを始めたきっかけ」と振り返る。

 以来、さまざまなジャンルから絵付けの基となる素材を探し、それをデザインして仕上げているという。

 作品は作りためて週1回焼くが、「窯出しの日には隣に住む孫が見に来る。絵付けにも興味がある様子」と笑う。「盆栽も陶芸も独学で、全くの自己流。他人に見てもらうというより、自分で楽しめばいい。絵付けを始めた3年前に比べて、技術も少しは上達したかな」と江口さん。既に100個ほどの作品は希望する友人や近所の人に贈ったそうだ。

 最近熱中しているのはピアノ演奏で、月3回教室に通っている。「芸は身を助けるというが、趣味があれば人生が豊かになると思う」。江口さんのチャレンジ精神はますます盛んだ。

2022年3月26日付816号11面から

- Advertisement -