【オンライン認定式に臨んだ(左から)重倉貢さん、重倉純男さん、広報担当の重倉成則さん】

 1999年に認定された「日本棚田百選」に続き、積極的な維持・保全の取り組みがなされ、優良な状態に保たれている271か所を農林水産省が改めて認定する「つなぐ棚田遺産」に、三重県伊賀市西山の「西山の棚田」が選ばれた。住民組織の代表者たちは「非農家の人たちも加われるよう、これまで以上に地域で協力し、棚田を守り継いでいきたい」と展望を語る。

展望公園から見た棚田

 江戸時代から耕作されてきたと伝わる西山の棚田は、1953(昭和28)年の通称「二八災害」で流出したがその後復旧し、現在まで住民らが守り継いできた。同市北西端に位置する約26万平方メートル(約500枚)の棚田を耕作する農家は60軒ほどで、近年は高齢化率が50%に迫り、放棄地も増えていたが、2020年に「国指定棚田地域」となり、地元住民らが除草作業や展望公園の整備などに取り組んできた。

 「つなぐ棚田遺産」に認定された地域や自治体は、同省ウェブサイトで写真とともに紹介され、統一ロゴマークを活用したPR活動も可能になる。三重県内では他に、松阪市の「深野だんだん田」と熊野市の「丸山千枚田」が選ばれた。

「棚田米」流通へ

 3月下旬にオンラインで同省と各自治体をつないで行われた認定式の後、西山自治会の重倉純男さん(72)と西山ふるさと保全会代表の重倉貢さん(74)は「身が引き締まる思い。これからの担い手確保は課題だが、50代前後を中心に営農組織を立ち上げ、老人クラブや子どもたちとも連携を深めていきたい」と意欲的に語った。

 西山地区では、棚田で作った伊賀米コシヒカリを「西山の棚田米」としてブランド化し、2022年度産米から広く流通させていく見通しだ。

2022年4月9日付817号14面から

- Advertisement -