【1991年から2022年3月上旬までに販売したCDのランキングトップ10(ネクストワン作成)】

 トレーディングカード事業などを手掛ける「ネクスト・ワン」(本社・三重県名張市夏見)が、創業間もないころから30年以上続けていた音楽CDの販売を3月末で終了する。市内に住む常連客の男性(46)は「驚いた。時代の流れを実感する」と話す。

 音楽産業はレコード、カセットテープ、CDとメディアを変えながら成長してきた。CDはコンパクトディスクの略で、1980年代初頭に登場後、標準的な音楽販売メディアとして普及した。

 同社は89年、当時26歳だった髙田雅之社長(58)が上野市(現・伊賀市)で広さ約70平方メートルのレンタルCD店を開いたのが始まりで、91年からはCD販売を併設。レンタルは数年で終了したが、販売は97年に名張駅前に専門店を開くなど拡大し、2000年ごろには売り上げがCD販売だけで年間2億円に達した。

 当時から働く社員は「このころに宇多田ヒカルさんや平家みちよさんのCDを1千枚以上売った」と懐かしむ。地元ラジオ局の番組にCD売り上げランキングのデータを提供したり、店内で音楽デュオ「コブクロ」の生ライブを実施したりと、地域の音楽文化を盛り上げてきた。

 次第に音楽のダウンロード販売やストリーミング配信の普及など、音楽を取り巻く環境に変化が出てきた。同社はCDの他、DVDやテレビゲームの販売を主に成長してきたが、CD販売の業績は2000年代半ばから下降線をたどるようになり、21年の年間売り上げは100万円に満たなくなっているという。

 同社は2010年代に入り、トレカ事業に経営の主軸を移し、チェーン店「カードボックス」を全国展開。現在は年商約33億円、従業員数135人の企業に成長している。髙田社長は「地域の音楽文化を担ってきた自負があったが、時代の流れには逆らえない。今後はより一層、カードを通じてサブカルチャーを全国に発信していきたい」と話す。

 同社はCD販売終了に当たり、約30年間に販売したCDのランキングトップ10をYOUで発表した=上表。

2022年3月26日付816号21面から

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