【小児科医院院長の加納友環さん=伊賀市小田町で】

 5歳から11歳の新型コロナワクチンの接種が各地で始まっているが、子どものワクチン接種には「副反応が気になる」などためらいの声もある。メリットや副反応のリスク、注意点について、「パパ小児科医(ぱぱしょー)」の名前で、SNSなどで情報発信する三重県伊賀市小田町の小児科医院院長、加納友環さん(40)に話を聞いた。

――メリットは?

 発症予防が挙げられる。オミクロン株への効果はまだ十分なデータがそろっていないが、それ以前の株では発症予防効果が9割以上で、重症化も防げる。感染したり、重症化したりした人は、やはりワクチン未接種が多い。

厚労省新型コロナワクチンQ&Aより

ーー副反応は?

 発熱や接種部の痛み、倦怠感などがあるが、大人とそんなに変わらない。心筋炎もあるが、まれであり、死亡例もない。

ーー接種を迷う人は?

 接種しなくてもいいという意見の中に「子どもは重症化しにくい」というものがある。確かに重症化は少ないが、あることはある。感染者になると学校や習い事などを休む必要があったり、周囲の人が検査対象になったりと、行動制限や社会的影響、心理的負担が大きい。話が分かる年齢なので親子で相談し、メリットとデメリットを考え納得の上で決めてほしい。

ーー基礎疾患がある子は?

 慢性呼吸器疾患や心疾患、腎疾患、透析や免疫療法を受けているなど、基礎疾患がある子どもは重症化リスクが高いため、日本小児科学会が接種を勧めている。 

ーー軽症が多いから大丈夫では?

 オミクロン株は軽症が多いが、軽症でも40度近い熱が続いたり、せきがすごく出たりと、意外としんどい。あまり楽観的に考えない方がいい。

ーー保護者からの不安の声は?

 保護者から「医師によっても見解が分かれるので、打つべきか不安になる」といった相談があった。「自分たちはかからない」という前提ではなく、自分たちが感染することもあるということを考え、陽性が出た時にどういう風に思うか、接種しなかったことを後悔しないか、同居家族に高齢者など重症化リスクが高い人がいないかなども考え、決めてほしい。不安があれば、まずはお近くの小児科に相談を。また、厚生労働省や小児科学会のウェブサイトなども参考にして頂けたら。

ーーどう説明すべき?

 子ども自身が納得していなかったら、副反応が出た時に不満を感じてしまう。ワクチンで熱が出たり、頭が痛くなったりすることもあるけれど、コロナにかかりにくくなること、重症になって入院する可能性も減らせることを、厚生労働省が出しているちらしなどを一緒に見て説明し、しっかりと話し合ってほしい。うちにも対象年齢の子が2人いる。「注射嫌だなぁ」と言っているが「コロナが早く終わってほしい」とも言っているので、じっくり話し合いたい。

ーー接種方法は?

 大人と同じく上腕三角筋のところに打つので、肩を出しやすい服で来て頂きたい。小学校低学年は、抱っこしながら打つ感じになる。注射が怖い子は、気をそらすことにで痛みをましにできる。打ったら「頑張ったね」と褒めてあげてほしい。事前にごほうびの菓子などを用意してもいい。

ーー注意点は?

 副反応の発熱への備えで、解熱剤を処方してほしいという人も多いが、予防的に出すことは保険診療でできないので自費になる。発熱後に受診した時は保険診療で処方できる。大人なら市販品を買ったりできるが、子どもに使えるものは限られ、錠剤が飲めず粉薬が必要な子はやはり処方薬となる。また、新型コロナワクチン接種の前後2週間は他の種類のワクチン接種はできない。


伊賀地域の小児接種

 5歳から11歳の新型コロナワクチンの接種で使用するワクチンはファイザー社製小児用で、3週間の間隔を空けて計2回接種する。同社製の12歳以上用と比べ、有効成分量は3分の1になっている。接種時は保護者の同伴が必要で、基礎疾患がある場合はかかりつけ医に相談する。

伊賀市

 伊賀市では、個別接種が、小児科を含む市内6か所の医療機関で9日以降開始。

 実施医療機関は▼上野こどもクリニック▼中産婦人科緑ヶ丘クリニック▼ひらい小児科クリニック▼森川病院▼ゆめこどもクリニック伊賀▼岡波総合病院。予約は接種券に同封のちらしを確認し、岡波総合病院は市専用コールセンター(0120・849・064)かウェブで予約、他の5か所は直接予約する。

 問い合わせは市新型コロナワクチン専用コールセンター(0120・849・064=月曜から土曜午前8時30分から午後5時)へ。

名張市

 名張市では、個別接種は小児科を含む市内6か所の医療機関で8日以降、集団接種は市立病院で15日に開始。

 個別接種の実施医療機関は▼かとう小児科医院▼卓山医院▼なばりこどもクリニック▼はしもと総合診療クリニック▼みらいのこどもクリニック▼百合が丘クリニック。予約は接種券に同封のちらしを確認し、各医療機関に直接行う。

 市立病院での集団接種の日程は、3月が15、16、18、22、23、25、29、30日。4月が26、27日。いずれも午後3時30分から同4時。

 集団接種の予約は、市ホームページ(https://www.city.nabari.lg.jp/)内の専用サイトで受け付ける。電話予約は市集団接種予約センター(0120・708・567)で午前9時から午後7時(土日祝日は同5時)まで。

 問い合わせは市新型コロナウイルスワクチン相談コールセンター(0595・63・7306)まで。

2022年3月12日付815号1、8面から

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