【練習試合でプレーする日根野選手(©鈴鹿ポイントゲッターズ)】

 サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)鈴鹿ポイントゲッターズに所属する、三重県伊賀市出身のMF日根野達海選手(23)。「キングカズ」こと元日本代表FW三浦知良選手(55)の入団で注目が高まる鈴鹿は三重県初のJリーグ入りを目指しており、日根野選手は「自分の殻を破って成長し、チームの勝利に貢献したい」と昇格の原動力となるべく意気込んでいる。

三浦選手(右)と日根野選手(©鈴鹿ポイントゲッターズ)

 サッカーの国体選手だった父親の影響で、物心ついた時にはボールを蹴っていた。幼稚園年長のころから地元小学生チームの練習に参加し、熱心な父親からマンツーマン指導も受けた。

 小6の時、Jリーグ・京都サンガFC下部組織の選考に合格。中学時代は授業後に毎日、母親の車で京都府城陽市のグラウンドに通って練習を重ねた。中3の春にはU‐15チームの主将を務め、全国大会を勝ち上がった。決勝では、英国で開かれる世界大会の出場権まであと一歩と迫ったが惜敗。「ちょっとした隙が結果を分け、勝負の世界の厳しさを心から思い知った」と振り返る。

 中学卒業後はU‐18所属となってアスリート育成プロジェクトに採用され、サンガの選手寮に住みながら立命館宇治高に通学。プロ選手を目指す同期のライバル9人としのぎを削り合った。

 2年の時、リーグ戦出場中に突然立ち上がれなくなり、右膝半月板損傷と診断。手術後、約半年間のリハビリ生活を送った。「医師からランニングの許可が出た時は、本当にうれしかった。この期間は、体づくりの基礎から自分を見つめ直した」と回顧する。

 高校卒業後は父の母校、大阪体育大でサッカーを続け、下部組織とは違った環境に身を置いた。「自己評価ではなく、他者評価が現実だ」と語る指導者の下、精神的な強さやチームプレーの重要さに気付かされたという。

三重でサッカー継続「チームのこと知って」

 4年の時、「地元の三重でサッカーを続けたい」との思いで鈴鹿の練習に参加し、2020年12月に入団が決定。21年6月のヴェルスパ大分戦で後半から出場し、デビューを飾った。チームは昨季リーグ4位で、日根野選手の出場はフル出場2試合を含む6試合だった。

 今年1月、父親と同世代の三浦選手がJ2横浜FCから期限付きで移籍。サッカー界のレジェンドの入団に「1か月以上経ってもまだ信じられない」と驚きを語る。「練習前の準備など、サッカーに取り組む姿勢がひと際違う。カズさんからたくさん学びたい」と一挙手一投足に注目する。

 「球際の強さは誰にも負けない」と話す日根野選手。新シーズンについて「ベテランの経験と若手のアグレッシブさの融合で、強いチームになる。自分は昨年より多くの試合に出て、J3昇格に貢献したい。伊賀の人にもチームのことをもっと知ってほしい」と力を込める。

 鈴鹿の今季開幕戦は3月13日午後1時から四日市市中央陸上競技場(四日市市日永東1)であり、ラインメール青森と対戦する。

2022年3月12日付815号1面から

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