【2月に開かれたイベントに出店した徳岡さん=名張市桔梗が丘で】

 実家の蜂蜜を使って作った酵母に、国産小麦をひいた自家製の全粒粉を使用したパン作りを楽しむ、三重県名張市富貴ケ丘の会社員、徳岡みどりさん。「親子に喜んでもらえる優しいパン」を研究し、「親子で選べるパン屋さん」を目指している。

 愛知県に住んでいた約20年前に教室で学んだのがパン作りのきっかけ。子育てを始めたばかりで「知り合いづくりのために」という理由で通ったが、講師の資格を取得するまでに上達した。

 10年前には全国アマチュア手作りパンコンテストにも参加。1回目の挑戦は「参加するだけで終わった」そうだが、2回目は「実家の父が養蜂で作る蜂蜜を使ってみよう」と、独学でパン作りに必要な酵母作りから研究。試行錯誤を繰り返して焼き上げたパンでグランプリを受賞した。

「子育てに似ている」

 その後、仕事と子育てに奔走しながら、週末はパン作りを続けた。特に蜂蜜酵母作りは「時間をかけて大事に育て、目が離せないが、奥深さと楽しさがあり、子育てに似ている」という。

 子育てを終えた数年前からは「仕事をしながらのパン作りを支えてくれた夫にも感謝を形にし、たくさんの人に食べてもらいたい」と、これまでの趣味から「パン屋」への夢が膨らんだ。

 昨夏には自宅に工房を設け、「Siamiel(しあみえる)」の屋号で、秋に開かれたイベントで初めて販売。その後の販売でも「おいしかった」とリピートしてくれる人がいたり、購買のため行列ができた時は涙が出るくらいうれしかったという。

「ごほうびパン」に

 徳岡さんは保育士から子育て支援員まで、ずっと子育てに関わる仕事をしてきた。自身の子育てを振り返り、現在子育てに奮闘するお母さんたちに、パンの販売を通じて「『ゆっくりいこうよ』とエールが送れたら。そして『ごほうびパン』になれば」と願っている。

 徳岡さんのパンは、3月6日午前10時から午後4時まで伊賀市ゆめが丘1のプラント伊賀店で開かれる「いがコミ!」でも販売される予定。

2022年2月12日付813号2、3面から

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