【岸さんの遺作や出品作を手にするサークルのメンバー=名張市桔梗が丘5番町で】

 「もうすぐ1年、刺しゅうが大好きだった先生に、皆の作品を見てもらいたい」。昨年3月に73歳で亡くなった岸道子さん(名張市桔梗が丘5番町)を中心に活動していたフランス刺しゅうグループの生徒たちが、自主サークルを始めて初の作品展「32年櫻ふたたび」を3月4日から6日まで市内で開く。

岸道子さん

 32年前に始まった「櫻の会」は元々、岸さんと近所の気心の知れた仲間が集まっていて、華美になりすぎず、自然の色合いを大切にする岸さんの作風に憧れ慕う人は多い。岸さん自身も定期的に大阪へ習いに出向いては、講師として自身や生徒たちのイメージづくりや刺し方に反映し、グループ展やロビー展も開いてきた。

 数年前に病気が発覚してからも岸さんは指導を続け、一昨年から取り掛かっていた十二支の作品を「完成させてほしい」と治療の合間に指導してきたが、完成を見ることなく他界。精神的支柱を失ったメンバーは「続けるのは難しいかも」と諦めかけていたが、周囲の助けや「先生に見てもらおう」という思いで前を向き、昨年5月に「さくらサークル」を発足した。

 メンバーは名張市と近隣に住む60、70代の女性12人で、月に2回集まって互いに教え合い、和気あいあいと刺しゅうを楽しむ。作品展には、岸さんの遺作5点を始め、岸さんの最後の指導作品となった十二支が並んだ額、手提げバッグなど約40点が並ぶ予定。

「絶やさず続けたい」

 代表の丸山久代さん(67)は「優しい色合いや先生の思いをたくさんの方に見て感じてもらえたら。先生が愛した刺しゅうを絶やさずこれからも続けていきたい」と話していた。

 作品展は同市桔梗が丘3番町の「ギャラリー閑」で。時間は午前11時から午後5時(最終日は同4時)まで。

2022年2月26日付814号2面から

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