【発見したアケビコノハを見つめる前川さん=名張市で】

 「えっ、葉っぱと違う!?」―。2月上旬、庭の枯れ葉を掃除していた名張市つつじが丘南1番町の前川満里子さん(82)は、ブロック塀の上にあった「1枚の枯れ葉」を捨てようと手に取った瞬間、奇妙な柔らかさを感じて思わず驚いた。

羽を広げた状態のアケビコノハ

 持ち上げた「枯れ葉」には細く小さな足があり、むずむずと動き始めた。2つに分かれて羽となり、内側から黄と黒の渦巻き模様の羽も現れた。「虫なんかぁ。葉っぱとよく似ているな」。生まれて初めて見る珍しい虫の姿に思わず感心した。

 これは蛾(が)の一種で、名は「アケビコノハ」。幼虫がアケビの葉を食べることから名付けられたとされ、成虫で越冬する。静止時には派手な羽を隠し、枯れ葉に擬態する。県上野森林公園(伊賀市下友生)職員の渡辺直人さん(29)によると、夜行性で、昼間は枯れ葉に紛れて見つけにくいという。

 前川さんは「『一寸の虫にも五分の魂』と言うが、天敵だらけの世界で形を変え、自分の身を守っていくとは本当にすごい。よく見ると、顔は象みたいで可愛らしい」と、見つけたアケビコノハをYOU記者に笑顔で託した。アケビコノハはその後、同公園内のビジターコテージで展示されている。


枯れ葉の中で分かるかな?アケビコノハはどこ?

【おまけクイズ】アケビコノハは枯れ葉に擬態しています。写真の中のどこにいるでしょうか?

(写真提供:県上野森林公園)

2022年2月12日付813号1、22面から

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