【3人でボールを手に、これからの活動に思いをはせる(左から)塚本さん、藤田さん、美代子さん=名張市夏見で】

教室スタート「新たな受け皿に」 元教員・藤田浩一さん

 三重県名張市の中学女子バスケットボール部を中心に部活動の顧問を約30年間務め、昨春定年退職した同市桔梗が丘5番町の元体育教員、藤田浩一さん(61)が、15歳以下女子バスケのクラブチームを作ろうと、11月から指導者としての活動を再開した。中学のクラブチームは伊賀地域ではまだ珍しく、「子どもたちが伸び伸びと思いっきりプレーできる場を作りたい」という新たな挑戦を、家族が温かくサポートしている。

 3月に市立南中で定年を迎え、「第2の人生をどう過ごそうか」などと思いを巡らせていた。そんなある日、25年ほど前の教え子から「自分の子どもにもバスケを教えてほしい」との声が届いた。引退したつもりだったが、妻で保育士の美代子さん(60)が「私たちも子どもたちのために協力する」と後押し。顧問時代に県大会優勝チームを率いた経験もある藤田さんが、再び指導者の道を歩む決意を固めた。

練習する教室生たちを見守る藤田さんら=同

 当初は自宅近くの小学校の体育館などを借りて始めようと考えたが、既存の活動でなかなかスケジュールが押えられなかった。そこでマツヤマSSKアリーナ(夏見)に相談したところ、自主事業として教室を開く形で、活動場所を提供するとの話になった。

バスケは「チームで成長する場」

 ところが藤田さんには、指導していく上でどうしても譲れないことがあった。それは「バスケはあくまでもチームスポーツであり、個の技術を高めるだけではなく、チームでともに成長する場でなければならない」という信念だった。

 そこでアリーナ側と話し合い、集まった教室生たちでゆくゆくは大会出場を目指すチームを作っていくことにした。チーム名は、顧問時代から部活だよりの題名としてきた言葉で、教え子たちが結成した地元の社会人チーム名でもある「ファストブレイク(速攻)」にちなみ、「Jr.ファブレ」とした。

 藤田さんは11月から、女子小中学生を対象に同アリーナで指導を開始。スタッフとして美代子さんの他、次女で小学校非常勤講師の塚本菜月さん(27)も加わった。美代子さんは活動全般から保護者とのやり取りまで陰ながら支え、塚本さんは取得したスポーツのトレーニング資格を生かして準備体操などを担当している。

 教室生は12月末現在、元教え子の子どもやその知人の子どもら小学1年から6年の計8人。中学生がいないため、全国U15選手権(ジュニアウインターカップ)を目指すチームづくりはまだ先だが、藤田さんは「部活とは別にバスケに打ち込もうという子、そもそも学校にクラブがないという子たちにとって、新たな受け皿になれたら」と話す。

 活動は毎週金・日曜の午後6時から同8時まで。受講料は週2回コースが月3500円で、1回単位では500円。事務手数料が別途月300円必要。

 問い合わせは同アリーナ(0595・63・5339)まで。

2022年1月15日付811号17面から

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