【よく練習で訪れるという林の中でハウスダンスを披露する山村さん=名張市大谷で】

祖母の死契機「地元にも根を」

 クラブミュージックの「ハウス」に合わせて踊るハウスダンスを指導する、三重県名張市朝日町の「KORGE」(コウジ)こと山村浩司さん(39)。「ダンスの魅力を地元の皆さんにも伝えたい」と、昨春から市内で教室を開き、普及活動を本格化させている。

 中学1年の時、お笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史さんがダンスに挑戦するテレビ番組をきっかけに興味を持ち、高校時代はダンスボーカルグループ「TRF」のSAMさんがナビゲートする番組に魅了され、引き込まれた。

 初めは独学で、実家の居間のテレビの前で、夜な夜なプロダンサーの録画映像をスロー再生し、動きをまねながら練習した。激しい動きで畳をボロボロにしてしまうため、祖母のとしへさんから叱られることもしばしば。天気の良い日は、近所にある朝日公園へ足を運んでダンボールを敷き、空の下で技の精度を高めたという。

 ある日、熱心に取り組む様子を見た高校の同級生が「こんな人がいるよ」と地元のヒップホップダンサーを取り上げた当時のYOUの記事を紹介。山村さんはダンサーの元を訪ねて師事し、技を磨いた。

クラブミュージック「ハウス」で踊る

 高校卒業後は大阪に移って音楽の専門学校に入学し、最も好きだったハウスの音楽で踊るハウスダンスを学んだ。ヒップホップと比べて曲のテンポが速く、運動量も豊富で、流れるように素早いステップと床技を展開するのが特徴だ。2年間の課程を終えると、同校のインストラクターに抜擢された。ダンサーとしても、東京や大阪などで開かれる大会で好成績を収めるようになったことで、関西圏の複数のダンススクールに指導者として招かれ、最大で週17本のレッスンを担当した。

 ダンスチーム「KURINE(クライン)」を結成するなど、山村さんが大阪を拠点に活動を広げる中、2014年に実家で暮らしていたとしへさんが87歳で亡くなった。幼いころから“おばあちゃん子”だった山村さんにとって、大きなショックだった。同様にショックを受けていた様子の両親を励まそうという思いから、名張に戻る決心をした。

「世代問わず楽しんで」

 その後は実家から大阪に通って活動を続けていたが、長引くコロナ禍を受け、「地元にも根を張って活動していこう」という思いに至った。「ハウスは心臓の鼓動音によく似たリズムで、人は本能的に気持ち良くなれる。名張ではあまり知られていないが、大人から子どもまで世代を問わず楽しめる素晴らしいダンスを知ってほしい」と話す。

 山村さんのレッスンは市武道交流館いきいき(蔵持町里)で毎週木曜午後8時から同9時15分まで。1レッスン1500円。2月3、10、17日は無料体験会を開く。

 問い合わせは山村さん(0595・63・4063)まで。

2022年1月29日付812号21面から

- Advertisement -