【「伊賀百筆」休刊第31号を持つ福田さん(左)と過去号を手にする北出さん】

 1995年の創刊から約26年、計30号が発行されてきた文芸誌「伊賀百筆」が、2021年12月10日発行の第31号で休刊となった。伊賀にこだわった「オピニオン文芸誌」として、松尾芭蕉や横光利一、忍者、市町村合併、郷土ゆかりの文化人の追悼特集、俳句・短歌など、各界の人たちに発表の場を提供し続けてきた。

 印刷会社の企業メセナ(芸術文化支援活動)としてスタートしたが、7年半後には有志十数人による自主運営に変わり、固定読者の購読料や投稿者の協賛金などで運営してきた。編集長の北出楯夫さん(80)(同市小田町)ら6人が発行に携わってきたが、「気力、体力、知力の衰えもあり、相談して休刊を決めた」という。

 第31号は、伊賀地域に移住した3組の家族の紹介が巻頭特集で組まれた他、同丸柱出身の地理学者で東京学芸大学の辻本芳郎名誉教授、徳川家康に仕えた服部半蔵正成のことなどを全291ページに掲載。A5版で税込み1500円。伊賀地域の書店で購入できる。

 「言いたいこと、伝えたいことが書けなくならないようにと、公的な財源を使わずやってきたのは一つの誇り」と話す北出さんは今号で、市町村合併の経緯などを漫才調の文章で振り返っている。「今の時代、情報は好きなものだけで軽く受け取られがちだが、自分だけでなく地域にとって大事なものを見つけてほしい」と語った。

 副編集長の福田和幸さん(73)(同四十九町)は「名称や形は異なっても構わないので、若い世代が自分なりの目線で見つけた伊賀の良さを掘り起こし、伝えていってくれたらありがたい。どこかにつながることを期待している」と話していた。

2022年1月15日付811号27面から