【女竹を準備する作業=名張市滝之原で】

 奈良市の唐招提寺で毎年5月19日にある伝統行事「うちわまき」で使われるハート形のうちわ「宝扇」の材料となる女竹の選別作業などが1月11日、三重県名張市滝之原であった。市民団体「唐招提寺に竹を送る会」の会員ら約30人が雨の中、合羽などを着て取り組んだ。

 うちわまきは約700年以上の歴史があり、同寺を復興した鎌倉時代の高僧・覚盛上人の命日に行われる行事の一つ。覚盛上人が蚊を殺生しなかった逸話に因み、蚊を払うためのうちわを供えたことに始まるとされる。近年はうちわの軸に使う竹材が不足するようになり、同寺の前長老が名張出身だった縁で2011年から同会が毎年納めている。

 この日は昨年12月から徐々に切り出していた分と合わせ、計1400本の用意が整った。地区の公民館前では参加者が持ち込まれた竹の葉を取り、節を合わせて長さを約4メートルに整えて太さごとに選別し、25本ずつの束にした。

 同会では来週100本を追加し、計1500本を19日に同寺に運ぶ予定。例年は一般参加を募集していたが、今回は感染防止のため会の役員のみで行う。竹は奉納後、1年間乾燥させた後に加工される。

 同会の奥西勲会長(80)は「雪の中での作業は過去にあったが、雨の中での作業は12年目にして初めてだった。何とか用意ができてほっとした」と話していた。