【かみしも姿で矢を射る弓取り人=名張市滝之原で】

 三重県名張市滝之原の八幡神社で1月9日、幼子の健やかな成長などを願って矢を射る「若子祭」があった。地区出身の会社員、福岡三広さん(49)に昨年6月、長男の暖大ちゃんが誕生し、2017年以来5年ぶりに若子のいる祭となった。かみしも姿の地元住民が寒空に向かって次々に矢を放ち、暖大ちゃんをはじめ住民らの無病息災などを祈った。

 若子は地区で前年に誕生した男児と、迎え入れた婿養子のこと。若子祭は700年以上の歴史があるとされ、県の選択無形民俗文化財に指定されている。ところが人口減少や少子化の影響で、昨年まで4年連続で若子が不在だった。

福岡さん夫妻と若子の暖大ちゃん=同

 社殿での神事に続いて弓取り人に選ばれた6人の男性が、神社の前から田んぼを隔て約70メートル先の山の斜面にある1・5メートル四方の的に向け、1人6本ずつ、計36本の矢を豪快に放った。あえて的に当てないのが習わしで、福岡さんや暖大ちゃんを抱く妻の万智さん(32)、見物人らが矢の行方を見守った。

 福岡さんの弟、仁志さん(46)は今年初めて弓取り人を務め、「甥が元気に成長するよう願いを込めて矢を放った。うまく飛んだ時は、とても気持ちが良い」と感想を語った。福岡さんは「多くの人に注目されてびっくり。暖大には健康に育ってほしい」と話していた。

 滝原恒利区長(68)は「子どもは宝、若子がいることはとてもうれしい。伝統の継続が一番大事」と語った。若子祭は毎年1月9日に開催していたが、行事を続けていくために関係者が参加しやすいよう、今年以降は1月の第2日曜日に開くことが昨年の区の総会で決まったという。