【伊賀市教委作成の「18歳成人式」実施に向けたスケジュール案】

市議指摘「争点回避では」 教育長否定

 民法改正で来年4月から成人年齢が引き下げられるのを機に、成人式の対象を18歳に変更するための手続きを示す三重県伊賀市のスケジュール案で、当初は市民に決定を公表する時期が昨年11月の市長選挙前だったことが入手した教育委員会の内部資料でわかった。実際の公表は市長選後の今年1月だった。議会説明のタイミングは9月としてあり、「全協への説明で新聞掲載が考えられる」との留意点も記載していた。取材した市議からは「市長選の争点回避だったのでは」との指摘が上がっている。

省かれた諮問 当初日程案では6月に予定

 情報公開請求で入手したのは岡本栄市長が2019年12月に「18歳成人式」の実施方針を表明して以降、成人式を市と共催する教委が機関決定する昨年12月までの間にあった、打ち合わせを含む会議や関連事務の資料計34枚。全てが「18歳成人式」の実施を前提とした資料で、従来の成人式と比較検証したことを裏付ける文書はなかった。今月16日の取材に対し、谷口修一教育長は「比較はした。資料はない」と答えた。

 また、スケジュール案は資料の中に3枚存在し、うち同一の2枚は6月に「18歳成人式」を議題とした社会教育委員への諮問を日程に盛り込んでいた。市教委によると、5月11日にあった事務局長(当時)ら職員4人の会議で諮問しないと判断したらしい。

 変更決定が市長選後だったのはなぜか。谷口教育長は「検討に時間がかかった。開催時期でいろんな意見があった。ただ単に遅れただけ」と説明。争点回避を否定した。検討に時間を要したという説明だが、諮問の手続きを省く判断から市長選までの5か月余の間に市教委が公開した資料で確認できた会議は2回だけだった。

 「18歳成人式」を巡っては、市議会が市民団体から9月定例会に提出された、成人式は従来と同じ対象年齢と日程で開催を求める請願を採択。市民団体は10月、岡本市長に要望書と7000筆を超える署名を提出した。岡本市長はアンケートなど意見聴取を求める声に「なじまない」と一蹴。12月定例会の一般質問では改めて「変更しない」と明言していた。

2021年12月25日付810号23面から

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