【10月下旬にあった「津モーターボート大賞」の予選でコーナーを旋回する高田選手=津市藤方のボートレース津で】

諦めず見つけた「自分らしさ」 目指すは賞金女王

 6艇で着順を争うボートレースで、外から内の艇を抜き去る「まくり」を自身のスタイルとして確立し好成績を収めている、三重県伊賀市出身の高田ひかる選手(27)(三重支部所属)。ファンの間で「まくり姫」という愛称も広まり、来年2月に行われる重賞レース「レディースオールスター」のファン投票で3位に入るなど、注目の女子レーサーだ。

11月のトークショーに出演した高田選手=同

 小学6年の時、両親とボートレース津(津市藤方)で観戦。「いきなり転覆も見たけれど、怖いとは思わなかった」。この時既に、ボートレーサーになることを志していたという。青山中、伊賀白鳳高時代はバレーボール部で、高校3年時に受けたボートレーサー養成所(福岡県)への4回目の入所試験に合格し、高校生活を半年残して入所した。

 競馬や競輪などと同じく公営競技の養成所では、規律正しい生活やライバルとの競争が待っている。「中学を出たばかりの子から社会人まで、自分とは本気度が違う」と感じたが、気後れすることなく学科や実技を学んで模擬レースを繰り返し、1年後の2013年11月、初めてレースを見た津でデビュー(6着)を果たした。

 だが、新人は不利な外枠からの発走が多く、「勝つイメージが湧かない。負けることに慣れてしまう日々」が続く。そんな時、三重支部のエース・井口佳典選手(44)が掛けてくれた言葉「6着を取る、負けるのは当たり前じゃない」―。曇っていた心に晴れ間がのぞいた。

 1、2年目は3着が最高だったが、3年目に初めて1着を奪取。今度は「もっとできたはず」「何が良かったか」と、一つひとつ、自分の中の疑問を解決していく日々。「勝った時のパターンを頭に入れ、レースでやってみる。その繰り返し」で成績を伸ばし、18年には初めての優勝も経験した。

後輩の成長も喜びに

 レースはスタート直後の1コーナーの攻防で大勢が決まるため、そこに選手それぞれの個性が現れる。高田選手が磨いてきたのが、スタートから1コーナーまでの直線で他艇と差をつけるレース運びと整備だ。不利な外枠でも序盤で内枠より先行すれば、先にコーナーを回れるからだ。「大きな挑戦だったけど、自分らしさが発揮でき、結果も伴ってきた」。19年60勝、20年64勝、21年は自己新の74勝(12月12日時点)を記録している。

 今年の獲得賞金は女子選手243人中25位の約2362万円(同)で、半年ごとの勝率で4段階に分けられる級別は1月から、1600人以上いる全レーサーの約2割しかなれない最上位の「A1級」に返り咲く。賞金上位の12人のみ出場がかなう年末の大舞台「クイーンズクライマックス」(旧名称「賞金女王決定戦」)への出場と優勝は悲願だ。

 地元出身の後輩・山下夏鈴選手(24)も同じスタイルで成績を伸ばし、今秋からは若手の中野孝二選手(23)の指導にも当たる。自身の成績向上と後輩の成長という二重の喜びを感じながら、「夢だったボートレースの世界に入り、自分らしさを見つけることができた。どんな夢でも諦めずにやり続ける大切さを日々感じている。もっともっと水面で活躍したい」。トレードマークの笑顔の奥に、強い志が見えた。

 高田選手は、12月26日からボートレース福岡で行われる重賞「クイーンズクライマックスシリーズ」に出場予定。

ボートレース津に掲げられた応援幕

2021年12月25日付810号1、2面から