【鉢植えの手入れをする濱田さん(右)と浩司さん=伊賀市高畑で】

 「秋から冬にかけての紅葉が可愛く、葉の色の変化や成長を見るのが何よりうれしい」。三重県伊賀市高畑の濱田ひろ子さん(59)が育てている多肉植物の数は、少なくとも数百鉢。夫の浩司さん(63)とともに、子や孫のように愛情を込めて接している。

 2年半前、体調を崩して仕事を辞めた濱田さんは「家にいても何かできること、夢中になれることはないか」と思い巡らせていた。ホームセンターを訪れた時、売っていた多肉植物の色や形にひかれて2種類購入し、玄関で育て始めた。その魅力に取りつかれ、ネット通販や販売会などで購入し、徐々に数が増えていった。

 サボテンやアロエなどに代表される多肉植物の中でも、濱田さんのお気に入りは、その形から「多肉のバラ」とも呼ばれる品種「エケベリア」で、全体の半数以上を占める。他にも、繁殖力の強い「カランコエ」、葉の小さい「セダム」、葉の形状がユニークな「セネシオ」など、軒先や庭を所狭しと彩っている。

 昨夏は暑さを避けきれず多くの株が枯れたため、「今年は特に気をつけた」という。水やりは、夏は数日おき、冬は2週間に1回程度。夏は水温が上がって根が傷まないよう、夜に水をやり、4台の業務用扇風機で風を送る。冬は寒さに弱い品種を離れにしまう他、今年は稲の育苗用ハウスを活用しようと検討中だ。

 鉢を置くラックや離れの改装など、浩司さんの協力は欠かせない。SNSで愛好者とのつながりもでき、生産者との交流で栽培のノウハウも教わっているそうで、濱田さんは「コロナ禍で、日常の癒やしを求めて多肉植物を育て始めた人が多いのかも。私自身、すごく元気をもらえるし癒やされている」と語った。

2021年10月23日付806号2面から

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