【徳永さん(右)と妻の紀江さん=伊賀市柘植町で】

 4年前、埼玉県上尾市から三重県伊賀市柘植町に移住した徳永龍雄さん(67)、紀江さん(49)夫妻は、30年近く空き家で傷みのひどかった家屋を住める環境に整え、農機具小屋を改装して念願のカフェをオープンした。その店内には、徳永さんが若いころから愛読してきた漫画雑誌「ガロ」341冊が置かれ、来店した人が自由に読めるようになっている。

 転居後に少しずつ家屋と小屋の改装・修復作業を進め、カフェは今年5月末に開店。愛読し手元に残していた「ガロ」は引っ越し時に処分するはずだったが、同じファンの友人たちの勧めもあり、カフェの目玉にすることを思いついたという。

 白土三平の長編「カムイ伝」を発表するために創刊した「ガロ」は、その連載終了後に水木しげる、つげ義春、糸井重里、蛭子能収、みうらじゅんなど多くの作家が活躍・デビューした。徳永さんは「ガロが無かったら活躍できなかった漫画家はたくさんいる。日本のサブカルチャーの中心で、一般の漫画誌では出せない自由な表現に自分自身も助けられた」と魅力を語る。

 徳永さんのお気に入りは、永島慎二、赤瀬川原平、川島ゆきおらで、それぞれ絵も作風も異なるが、同じ〝ガロ魂〟を感じるそうだ。店内には、創刊した1964年から一時休刊した97年までの雑誌が置かれているという。

 店名の「こげら文庫」は、日本最小のキツツキ「コゲラ」の木をつつく仕草が創作の象徴だと思ったところから名付けた。今後は「2階をギャラリースペースにして作家の人たちの発表の場にしたり、ゆっくり本を読んでもらうために蔵を民泊施設に改装したりできれば」と今後の計画を話していた。

 営業は金曜から日曜の午前11時30分から午後6時30分まで。

 問い合わせは同店(0595・51・5243)まで。

2021年10月23日付806号6面から