【掲載用の商品写真を撮影する実行委員会のメンバー=伊賀市丸柱で】

「多くの方に届けたい」

 伊賀焼の窯元による〝蔵出し市〟として知られ、毎年9月に開かれてきた「伊賀焼陶器まつり」が、コロナ禍で昨年に続き今年も開催できなくなった。「対面でなくても、伊賀焼を多くの方に届けられたら」―。窯元の若手有志らを中心に準備を進めてきた、オンラインで伊賀焼を販売する企画が10月17日から31日まで開かれる。

 伊賀焼振興協同組合によると、同まつりは1978年に「伊賀青年陶器研究会」が丸柱地区で開催したのが始まりで、当初は小規模な蔵ざらえの意味が強い催しだった。回を重ねて来場者も増え、2016年からは時期を夏から秋に移行。多い年は週末の3日間で約3万人が訪れる一大イベントに成長した。

 同まつりは窯元が実行委員会を組織しての自主運営のため、コロナ禍での大規模イベント開催は感染予防も含めて難しいそう。瀬戸、備前など他産地の窯元との情報交換の中で、既にオンライン販売イベントを始めている産地もあることを知り、「やらんと始まらんよね」と有志が集まった。

 今回参加する14軒のうち、既にネット販売などの経験があるメンバーを中心に、ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」を利用。見せ方を統一するため商品撮影も一括して行い、照明なども工夫した。出品数は1軒10種類で、140種類800個前後の予定。

 製陶所、個人作家など、立場はそれぞれ異なるが、「伊賀焼を楽しみにしている人に届けたい」という思いは一つ。実行委員長の田中元将さん(41)は「初めての試みで、今回は期間限定だが、伊賀の作家が誰でも参加でき、定期的に、日常的に販売できるツールにしていけたら」と展望を話した。

 販売サイト(https://igayaki.official.ec/)は既に公開されており、期間は17日午前9時から31日午後11時59分まで。

2021年9月25日付804号16面から

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