【田んぼの中で羽を休めるコウノトリの(左から)太良、けんぞう、輝生=名張市安部田で(9月9日午前7時36分撮影)】

 国の特別天然記念物・コウノトリが、実りの時期を迎えた三重県名張市安部田の田園地帯に3羽飛来している。福井県小浜市を7月に巣立った幼鳥の3兄弟で、9月9日には田んぼでイナゴなどの餌をついばむ姿がみられた。

 兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)によると、名張市への飛来確認は初めてという。飛来したコウノトリには個体識別の足輪が付いており、3羽とも今年5月6日に福井県小浜市国富地区の人工巣塔で生まれ、7月14日に巣立った。同市では、地元住民が巣立った3羽に「輝生(きせい)」、「太良(たら)」「けんぞう」の愛称をそれぞれ与えていた。

 小浜市環境衛生課によると、9月1日には名張市から約250キロ離れた長野県安曇野市で目撃情報があったという。同課の担当者は「3羽仲良くそろって、ほほえましい。元気そうで安心した」と話した。

 「日本野鳥の会三重」元理事の田中豊成さん(70)は「長年野鳥を観察してきたが、名張では初めて見た。幼いうちは、一緒に行動することがよくある」と話す。観察に訪れた野鳥ファンの70代女性は「思ったより大きくてびっくり。幸せを運ぶ鳥といわれるので、地域に何か良いことが起こるかも」とうれしそうに語った。

 同公園の担当者は「観察する際は、コウノトリを驚かさないよう150メートルくらい離れたところから、優しく静かに見守るようにしてください」としている。

大空をはばたく3羽=同(9月8日午後5時47分撮影)
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