【撤去作業を始める建物前で行政代執行開始を宣言する谷本部長=名張市さつき台で】

 三重県名張市は8月16日、空き家対策特別措置法に基づき、建設途中で放置され倒壊の危険があるなどとする同市さつき台の住宅建物について、行政代執行で撤去を始めた。10月1日までに基礎のみの状態にする予定。空き家撤去の行政代執行は市内2例目、県内では6例目で、建設途中の事例は初という。

 市によると、建物は木造2階建て(計画上は延べ床面積約140平方メートル)で、2004年以降に着工後、資金難で工事が止まってしまったとみられる。壁や床は未施工で、屋根は瓦屋根の下地のみの状態。長年風雨にさらされ柱などが腐食し、一部の柱は浮いてしまっているという。約530平方メートルの敷地には全面的に草木が繁茂し、12年に地域住民から「草が生えて困る」と市に相談があった。19年に市が特定空き家に認定し、適正管理を文書などで数十回にわたり指導。20年11月に市外に住む所有者から自ら除却するとの連絡があったが、申告期日までに改善されなかったため、行政代執行に踏み切った。

 この日は市職員や施工業者が集まり、午前10時に建物前で市都市整備部の谷本浩司部長が開始宣言を読み上げた。行政代執行にかかる費用は約219万円で、所有者に請求する。所有者とは連絡が取れており、支払いに応じる意向を示しているという。

 同市内では管理不全の状態にある空き家が現在200軒ほどあり、そのうち倒壊の危険があるなどの特定空き家は今回の物件以外に2軒あるという。