三重県伊賀市が民法改正後の成人式対象者を18歳に変更する意思決定の課程で、所管の教育委員会事務局は諮問機関に議事として審議を求めず、決定の報告だけで済ませていたことが分かった。従来の場合、その年に予定する式典の詳細や分散型など開催方法の変更についても委員に諮っていた。主催する市の思惑だけで突き進むかのような姿勢に、意見する機会がないと声を挙げていた市民の不満や疑問は更に増しそうだ。

 諮問機関は市教委の社会教育委員の会議で、年1回から3回の定例会または臨時会を開いている。過去10年の資料を確認すると、成人式は常に審議事項の取り扱いだったが、今年2月9日の会議では「民法改正後の成人式の考え方及び開催について」という項目は審議の対象から外し、報告説明だけにしていた。

 決定までの流れではまず、岡本栄市長が2019年12月の市議会で変更の意思を示し、昨年12月に市教委事務局内で変更の考えを集約。今年1月7日にあった市長や特別職、部長らで構成する総合政策会議に諮り最終決定した。社会教育委員に「市の方針として決定しています」と告げたのは同月19日の市議会議員全員協議会から3週間後で、24年以降は開催日を5月4日に固定することや、開催方式は中学校区を基本とした分散型から単一会場に再び変更することも事後報告だった。

疑問不満の声受け話し合いの場設定へ

 今年2回目となる7月1日の会議で、委員からは「これで本当に決定なのか。変更はあり得ないのか。他の市町村では違うようだ。議論する場を検討してほしい」などの意見が出た。これに対し、市教委は「なぜ18歳でやるのか、市できちんと伝えてこなかった。歩み寄れるところは歩み寄りたい」と答え、近く住民向けに説明や話し合いの場を持つ考えを示した。

 教育行政トップの谷口修一教育長は、18歳成人式の開催について「市長の方針を受け、市教委事務局としても意義があると決定した」と説明。諮問の判断は「定めた規則などがない。今回は諮問することではないと判断した」と答えた。23年に開く成人式の対象になる現役高校生らから声を聞かず決定したことは「いろんな意見があることは承知している」とし、先に変更を公言した岡本市長への忖度ではないかとの問いには「忖度ではない」と否定した。

2021年7月10日付799号23面から