【花を眺める和田さん=伊賀市馬場で】

 旧三重県立名張桔梗丘高校の音楽室の一角で、かつて生徒たちの学校生活を見守っていた南国の花、ハイビスカスの鉢植え。2018年の閉校までの17年間、同高で音楽教諭を務めた伊賀市馬場の和田秀昭さん(64)宅で今、花盛りを迎えている。

同じ日に咲いた3輪のハイビスカス(和田さん提供、4月25日撮影)

 アオイ科フヨウ属のハイビスカスは、熱帯や亜熱帯地域でよく栽培されている。通常は朝咲いて夜にはしぼんでしまう一日花で、開花時期は5月から10月ごろとされている。

 このハイビスカスは20年ほど前、顧問を務めていた同高吹奏楽部のOBから、沖縄の土産として小さな鉢植えを贈られたもの。音楽室の窓際のロッカー上に飾り、間もなく2回ほど花を付けたが、その後は水やりをしても全く咲かなくなってしまった。

 花を見たことのない生徒たちからは「これ、何の木なん」と不思議がられていたという。8年ほど音楽室に置いていたが、和田さんが半年ほど病気で休職した際に自宅に持ち帰り、鉢の植え替えをするなど世話を続けた。

 閉校とともに多忙な教員生活を終えた和田さんは、ガーデニングが趣味になった。一昨年、自宅のアジサイの手入れで思い切って大掛かりなせん定をしたところ、その翌年には、今までになく見事な花を付けたという。

 昨夏はハイビスカスのせん定に挑戦。太陽光もよく当てるようにしたところ、9月末に直径17センチほどのオレンジ色の大輪が約15年ぶりに開花した。それからほぼ毎月、次々に花を咲かせて、1月と2月には2輪、4月25日には3輪が同日に咲いた。

 県中央農業改良普及センター花植木普及課によると、せん定をきっかけにハイビスカスにとっての生育条件が変わり、最適な環境が整ったことが大きいという。

 「昔から『育てる』ことが好きで、教員生活もやりがいある毎日だった」という和田さんは、現在は県内で吹奏楽部の中高生を指導する傍ら、庭の花や野菜の世話をする日々。「育てるということは、自分自身も元気をもらうものだと改めて感じる」と話していた。

2021年5月15日付795号4面から