【(右写真)感染症対策課参事兼課長の渡邉さん(左写真)同課ワクチン企画推進班班長の太田さん】

 新型コロナウイルスが全国で猛威を振るっている。三重県では4月から、これまで対応を担ってきた県医療保健部薬務感染症対策課を「薬務課」と「感染症対策課」に分割再編し、コロナ対応は後者が担う体制となった。感染症対策課参事兼課長の渡邉和洋さん(57)と同課ワクチン企画推進班班長の太田茂治さん(51)に話を聞いた。

年代問わず感染

――どのような体制に変わりましたか
渡邉さん「感染症対策課の中で更にワクチン企画推進班など4つの班を設けた他、部内に患者の情報収集・分析やクラスター対策を扱う『感染症情報プロジェクトチーム』、入院や自宅・宿泊療養の調整を扱う『入院・療養調整プロジェクトチーム』を作り、役割を明確化しました」

――県内は今どのような感染状況ですか
渡邉さん「3月下旬から新規感染者が増え、病床使用率も上がり、非常に厳しく予断を許さない状態です。連休明けの状況を注視しているところです」

――昨年末から年始にかけての第3波と3月下旬から続く第4波の違いをどう感じていますか
渡邉さん「第3波の時は病床使用率が下がり始めてから重症患者が増え、時期がずれていました。第4波では60代以上の重症化率が高く、発症から重症化までの日数は変異株で短い傾向となっています。医療機関にとって厳しい状況となっています」

3月27日から5月5日までの年齢別発生状況(県資料基に作成)

――変異株の感染拡大をどう見ていますか
渡邉さん「3月下旬以降、英国型の『N501Y』変異株が急増し、従来株にほぼ置き換わっていると見ています。感染力が強いと言われており、ある程度感染防止策をとっていた事業所でも、休憩などの場面の切り替わりなどで感染が広がっている様子が見受けられます。また従来株では家庭内で若い人が感染しなかった例がありましたが、変異株では家族全員が感染してしまうなど、年代を問わず感染するケースが出てきており、今までとは明らかに違うと感じます。3密の回避、マスクの着用、手洗いなどの基本的な感染予防策は一緒なので、より徹底をお願いしたいです」

――伊賀管内の状況をどう見ていますか
渡邉さん「大阪など関西圏にお勤めの方が多いと思います。緊急警戒宣言の中では『生活の維持に必要な場合を除き県外移動は自粛をお願いします』と表現していますが、テレワークなどの対応が難しい職種もあるので、その場合は長時間の会食を避けるなど、少しでもリスクを下げるよう感染防止策を徹底して頂きたいです。ご自身や家族を守ることにつながります。また、感染対策を十分に行っていたつもりでも感染してしまうことが誰しも十分起こり得ますので、いわれのない誹謗中傷は断じてやめて頂きたいです」

――病床確保状況を教えてください
渡邉さん「5月7日現在、確保病床は392床で、うち重症者用が53床です。医療機関にお願いし、更に病床を増やす方向で調整を進めています。宿泊療養施設は100床ですが、こちらも更に増やす方向で取り組んでいます」

――入院調整中や自宅療養の方が増えていますが、どういった状況ですか
渡邉さん「重症の方から優先的に医療機関に入院して頂いており、中等症の方は入院または宿泊療養施設、軽症の方は病床の利用状況から自宅療養となるケースが増えてきています」

――伊賀管内で感染した場合の入院先はどうなりますか
渡邉さん「基本的に、まずは保健所管内で入院の調整を行い、それで対応できない場合は管外を含めた県内の医療機関で広域的に調整を行っています」

感染リスク下げるワクチン接種
迅速・円滑に 最大限支援

――ワクチンは皆が接種するのですか
渡邉さん「ワクチン接種は義務ではないですが、有効性は証明されており、感染リスクを下げるため、ぜひ前向きに考えてください」

――ワクチンは変異株にも有効なのですか
太田さん「変異株に対しても、ワクチンは有効だと考えられています」

――接種スケジュールはどのようになっていますか
太田さん「65歳以上の高齢者については、国が7月末までに接種を完了することを目標に、体制などの見直しを進めています。今後、ワクチンの供給に余力があれば64歳以下についても始める場合があると思われますが、まずは高齢者から進めていくという状況です。県内約53万人の65歳以上の高齢者に対応するファイザー製ワクチンは、国から供給見込みが示されています」

――ワクチン接種はどれくらい進んでいますか
太田さん「県内の医療従事者は4月30日現在、1回目の接種を3万9872人が終えており、2回目接種を1万4359人が終えています。高齢者は5月5日現在、1回目の接種を2596人が終えています」

――接種券が届いたらどうしたら良いですか
太田さん「市町からの案内をよくご確認ください。接種券の他、予診票など持参するものが案内されていると思います。予診票にはあらかじめ内容をご記入頂き、肩を出しやすい服装で接種に臨まれた方が良いと思います」

――コールセンターへの問い合わせはどのような内容が多いですか
太田さん「副反応への不安や基礎疾患との兼ね合いなどについて、よく問い合わせが寄せられています」

――ワクチンの副反応はどのようなものですか
太田さん「今のところ医療従事者のデータがほとんどですが、2回目の接種をした翌日に発熱や頭痛、倦怠感が現れる人がよく見られると報告されています。県内でもアナフィラキシーの疑われる症状が出る方もいましたが、医療機関で適切な処置を受け、症状は軽快、回復されています。基礎疾患があり心配な方は、かかりつけ医にご相談ください」

――今後の職務への思いを教えてください
渡邉さん「県民の皆さんの協力なくしては、感染症の防止対策は成り立たないと考えています。正確な情報を発信し、理解を深めて頂けるよう取り組むとともに、市町でのワクチン接種が円滑に進むよう最大限の支援をしていきたいと思います。少しでも早く収束させ、かつての日常を取り戻せるよう頑張っていきます」
太田さん「ワクチンの住民接種は基本的に市町で体制を準備して頂いていますが、迅速に円滑に接種を進めていけるようしっかりと支援していきたいです」