【商品を紹介する今さん=名張市で】

「無添加食品の魅力訴えたい」

 「チャンスがあれば独立、起業したい」。三重県名張市すずらん台東2番町の会社員、今陽祐さん(30)がクラフトコーラ事業を今春立ち上げた。勤務先の理解もあり、いずれ新規事業に専念するという。

材料を煮詰める工程=同

 クラフトコーラは職人などによる「手作りコーラ」。昨夏、専門店や愛好家が情報交換している短文投稿サイト「ツイッター」で知り、「これは面白そうだ」と直感したという。

 奈良市の自然食品会社で梅しょうエキスやショウガ粉末などの製造を担当していることから、自然素材を使った無添加食品への関心が高かった。市販の炭酸飲料には砂糖や添加物が使われていることから「もっと体に優しいコーラを作り、イメージを変えたい」と考えたという。

 起業にあたり、名張市経済好循環推進協議会が主催する「創業セミナー」を受講。5回にわたって専門家から知識や手続き、資金調達のノウハウを学んだ。

 昨秋には市内の梅が丘北1番町で、学習塾として使われていた2階建ての建物を購入。1階を改装し、充てん機やガス燃焼器などを導入した製造場所とともに、原料と完成品をそれぞれ保管する部屋を設けた。

 今年3月には「清涼飲料水製造業」の認可を取り、4月から本格的に製造を開始した。

 クラフトコーラの主な原料は砂糖とスパイスとかんきつ類で、それらを煮詰めて作る。試行錯誤の末、ミネラルの多い未精製のキビ砂糖を使い、カレーや肉料理に使うシナモンやカルダモン、クローブなど10種類以上のスパイスを独自に配合。国産のレモン、ライム、ゆずなどと混ぜ合わせて加工している。化学調味料や着色料などの添加物は一切使わない。

 商品名は屋号と同じ「COLAND(コーランド)」。フクロウをデザインしたマークの瓶に詰め、500ミリリットルが3780円(税込み)、200ミリリットルが1944円(同)。炭酸水で3倍以上に薄めて飲む。賞味期限は6か月。1ロットで大瓶なら50本、小瓶なら100本を3日間で生産できるという。

 工場でも直売しているが、オンラインショップ(https://shop.colandsoda.com/)での販売が中心。いずれは伊賀地域の自然食品を扱う店に卸していく考えだ。

 「牛乳や酒で割ってもいいし、アイスクリームにかけてもおいしい」と今さん。今後、ジンジャーエールやフルーツシロップなど無添加の清涼飲料水にも挑戦したいという。

 今さんは「起業にあたって銀行からの融資も受け、資金的にはマイナスからのスタートだが、インスタグラムの反応もいいし市場ニーズは根強いものがある。お客さまの声を聞きながら、更においしい味の追求とともに無添加食品の魅力を広く訴え、事業を成功に導きたい」と抱負を語った。

 問い合わせは今さん(0595・54・6838)まで。

2021年4月24日付794号11面から

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